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林業事業体でICT化が進まない理由を考える 〜業界は本当にICT化を求めているのか〜

他業界では進むICT化。林業業界ではなぜ進まないのだろうか。ポイントは林業が「補助制度の基に成立している業種」であることだ。林業業界のICTを考える、FOREST MEDIA WORKS Inc.のCEO楢崎達也氏による連載コラム。

他業界では進むICT化
林業業界ではなぜ進まない?

皆さんもそうだと思いますが、業界に長くいると、同じような政策が繰返し繰返し提案されてくること、流行り廃りがあることが見えてきます(なので、実行主体としては飽きてくる笑)。しかし、世の中が進めば、続々と新しい考え方や技術がでてくるので、それらが政策に反映してくるのは当然です。
 
でも他の業界ではICT化が進むのに林業業界ではどうしてICT化が進まないのでしょう。ちなみに、昨年10月に農業分野のICTイベントに参加してみました。過去に、ビニルハウスの生産管理システムを苗木生産に導入した経験あり、農業ではさぞかし普及しているのかと思いきや、林業分野と同じような状況でした。
 
第1回では、実は「我々は本心ではICT化を望んでいない(のでは)」ということを書かせてもらいました。それが「スマート林業」政策とのギャップによって、「いろいろやっている割には進まない」という見え方になってしまっています。
 
農業分野の紹介もしましたが、同じ公金を活用して行われる公共事業の土木事業では、競争による元請け業者選定プロセスと業務管理に於いて、安全性(対内外)、効率化(工期短縮・コストダウン)、その他(社会貢献等)の工夫が求められます。そのため、これらに少しでもメリット(改善)があるICTを含むツール・外注先を貪欲に求めてきます。



補助事業においても効率化は必須
手段としてICTの活用を

林業業界ではどうでしょうか? 林業は、一部の業務を除き、公益的機能発揮のための補助制度の基に成立している業種です。良くも悪くも事業費の約68%は補助金で賄われていますので、理想的な森林づくりかどうかは別として、補助制度に則った現場施業、書類作成が求められるのは当然のことですよね。そうなると、「補助事業においてICT活用が求められるのか」ということが林業ICTの先行きを決める議論の一つの方向性にはなってきます。
 
「補助」なので、公共事業とは異なり「(現場作業の)効率化」が事業体、特に森林組合、の改善の動機になりにくいですよね。また、森林組合法第4条の「営利を目的としてその事業を行つてはならない」を捉えて、「利益を出してはいけない」と解釈し「効率化」を求めない方も意外といます。
 
しかし、考えてもみてください、補助事業の実行を主たる業務にしているとは言え、林業事業体が、林業大学校からの卒業生を雇用し、職員の能力アップ教育をし、職員給料を能力に応じて増やし、魅力的な職場にして地域の森林を管理していくためには、組織としての成長が必要だし、成長に必要な利益(金)が必要なはずですよね。そのためには効率化は必要なはずです。また、新型コロナウイルスの広がりによる林業業界への経済的な影響についても組織的に対応しなければなりません。
 
それでは、林業事業体経営のどこをどのように工夫していけば良いのでしょうか。「IT化すれば物事が解決するわけではない」という方もおられると思いますが、手段としてはあると思います! 今後、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
 

PROFILE

FOREST MEDIA WORKS株式会社
CEO 楢崎達也

カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2019プロデューサー。

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