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経営視点から林業業務のICT化を考える 〜業界は本当にICT化を求めているのか〜

全国で林業ICT化が進んでいるが、林業業界は本当に業務のICT化を求めているのか? そう語るのは、FOREST MEDIA WORKS Inc.のCEO楢崎達也氏。林業事業体の経営支援者という視点から林業業界のICTを考える、同氏による連載コラム。

ICT化すれば
物事が解決するわけではない

誌面版では、「林業を経営から考える」をテーマにコラムを書かせていただいていますが、ネット版では、林業分野におけるICTをテーマに書かせていただきます。 
 
私は林業・木材分野のシンクタンク・コンサルティングを業務としており、前職、前々職を通じて、今もいくつかの林業分野のIT化プロジェクトに関わっています。タブレット型PC(iPad)の普及が始まった2012年からは、タブレットPCによる林業アプリの開発(2014年GOOD DESIGN賞)に関わったり、いくつかの林業機械の開発プロジェクト等に関わってきました。
 
近年では、林業業界にICTが普及した近未来を描いたチープな妄想SF映像作成(ユーチューブ)、林業の最先端技術を集めた展示会「次世代森林産業展(フォレストライズ)」(フジサンケイビジネスアイ主催)の企画協力もさせていただいています。

政策的な流れもあり「スマート林業」を合言葉に、全国で林業ICT化が進んでる状況があるのは、皆さんもご存知の通りだと思います。ここからスタートしたいと思います。林業の実務に携わる我々は、本当に「業務のICT化」を求めているのでしょうか。正直言って、林業業界の方々は、「できればICT化して欲しくないなぁ」と思っているのではないでしょうか。



誤解のないように申し上げておきますが、私は、「ブレードランナー」のような人工知能が反乱を起こすような世の中は嬉しくないですが(笑)、「業務のICT化」は進めるべきだという思いです。
 
というのは、林業に関わる人が少なくなっていく一方で、業務量は増えていっています。現場での肉体労働がきついことは認識されていますが、実はプランナー業は他の業種と比べてもやることが多いし、書類が多く、大変きつい部類の仕事です。
 
皆さんは、感覚的には、わかっているはずです、「ICT化すれば物事が解決するわけではない」ことを、また同時に、無駄が多く工夫次第で現場作業もプランナー業ももっと効率アップできることを。
 
「ICT化」というと、テレビCMで大手企業もICTソリューションの提供を盛んにうたっています。IT業者にお願いして、今日、ITソリューション(≒ソフト&ハード)を導入すれば明日から効率が倍になるのであれば、私が誰よりも先に買います!
 
この月2回のコラムでは、林業事業体の職員でもなく、IT企業職員でもなく、行政職員でもなく、研究機関の研究者でもない、林業事業体の経営支援をしている、少し変わった立場の視点から林業分野のICTを考えていきます。辛口なので、そこのところ、よろしくお願いします。
 

PROFILE

FOREST MEDIA WORKS株式会社
CEO 楢崎達也

カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2019プロデューサー。

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