吉野材がネットで1本から買える! 林業の流通に革命を起こす「吉野ウイング」が始動
2021/10/10
林業500年の歴史を持つ奈良県吉野町の「吉野製材工業協同組合」が木材の直接販売をついにスタート。エンドユーザーまで“ワンストップ”で提供する、新しい流通スタイルを目指す。
日本の銘木・吉野材の
産直がついにスタート
日本で最も古い植林の歴史をもつ奈良県吉野地域。この土地で生産されるスギやヒノキは「吉野材」と呼ばれ、日本を代表する良質な木材として知名度が高い。しかし、木材価格の下落に加え、作業員や山守の高齢化で年々経営が厳しくなる状況だという。
この大きな課題に取り組んだのが、吉野材流通量の約3分の1を取り扱う吉野製材工業協同組合(所在地:奈良県吉野町)。製品の企画や木材の調達から、製造・物流・マーケティング・プロモーション・販売までを一貫して手掛ける流通拠点「吉野ウイング」を2020年7月に設立した。
これまでに「吉野の木材を使いたいが、そのための情報が得られない」というハウスメーカーをはじめ、工務店やゼネコン、設計士、建築家といったプロ、または個人的に必要な一般の人からの声が多かった。この要望に応え、吉野ウイングではプロでも個人でも直接吉野杉が購入できるようになった。
WEBサイトから
購入・見積もりが可能に
吉野ウイングは、“必要な時に、必要なところへ、必要な分だけ木材をお届けする” がモットー。WEBサイトからの見積もり・購入が可能で、原木以外の製材した木材を主に取り扱っている。
製品は、梁(桁)、造作材、柱材、羽目板、カウンター材などが揃い、長さや厚み、幅、樹種、等級などから選ぶことができる。カタログにないサイズや加工も相談に応じ、個人・法人を問わず1本から購入できるというのも画期的だ。こうしたネット販売が可能となり、これまで一般の人がほとんど扱うことができなかった日本の銘木が身近な存在となる。
吉野杉の魅力を伝える
イベントを町内で開催
吉野ウイングでは吉野材の良さを体験してもらうため、今秋から来年春にかけて4回のイベントを町内で開催。こちらの最新情報は公式インスタグラムをチェックしてほしい。
日本でもっとも歴史ある林業のまちの革新的なチャレンジを、これからもしっかり注目していきたい。
●第1回:2021年10月15日(金)9:30~
伐採見学ツアー+木工作家展示会
吉野林業のストーリーが分かる「伐採見学ツアー」。地元奈良県の木工作家が吉野材製品や創作家具を展示し、吉野材を活用した「住まいの空間」を提案。
●第2回:2021年11月6(土)~7日(日)10:00~
手刻み / 建て方実演 他
職人の手作業で加工することを「手刻み」と呼び、吉野伝統の手刻みの継承する集団「手刻み同好会」と協力連携し、吉野材のな手刻み小屋「hut to Tekizami」の棟上げをライブ実演。吉野材と手刻みの価値について建築分野の有識者によるトークとパネルディスカッションを行う。
●第3回:2022年2月9日(水)10:00~
木工作家展示会
地元奈良県の木工作家による吉野材製品、吉野の地で作られた創作家具を展示。
●第4回:2022年3月11日(金)13:00~
パネル工法上映会
木造大型パネル工法を開発した「ウッドステーション」が、在来軸組工法との明確な違いや納期、コスト比較によるメリットなど解説と合わせて、建築作業工程を上映。
問い合わせ
吉野製材工業協同組合
YOSHINO WING
MAIL:infoyoshinow@gmail.com
文:後藤あや子