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林業者の取り組み

減少を続ける”林家”の手取り。 本当に国が掲げるべき政策とは?

「林家」と書いて「りんか」と読む。林家とは森林を所有している人たちのことである。その林家が自らの林業経営について抱いている思いがどれだけ理解されているのか。林業に関する昨今の政策議論を見ていると、彼らの立場が軽視されていると感じることがしばしばある。

アイキャッチ:子供やその先の世代も林業に従事できるようにすることこそが林家の願いだ。

林家の手取り収入は大幅に減少

山の木が伐採されて販売された売上から、伐採や搬出・運搬にかかった経費を差し引いた残額が林家の手取り収入となる。それを「立木価格」あるいは「立木代金」と呼ぶ。

日本不動産研究所の調査によると、2019年3月末時点の立木価格(1㎥当たり。以下同じ)はスギが3,061円、ヒノキが6,047円となり、3年連続で上昇した。

立木価格が上昇傾向になったというのは、森林を所有している林家にとって喜ばしいことであるには違いない。だが、2000年時点ではスギが7,794円、ヒノキが19,297円だったのに比べると、現在の価格はその3~4割程度に過ぎない。

さらに遡れば、立木価格が過去最高値だった1980年はスギが22,707円、ヒノキが42,947円もしていた。それに比べると、今はスギもヒノキも7分の1程度と大幅に値下がりしているのである。

林家にとって
「現状維持」こそが重要

このように所有林の木を販売しても大きな収入が望めない状況下で、現在、多くの林家が経営意欲を低下させている。そのため、間伐などの手入れが滞り、荒廃した人工林が全国的に増えている。

そこで国では、管理が行き届かない民有林の経営を市町村に担わせ、さらに「意欲と能力がある林業経営者」に集積する「新たな森林管理システム」を19年度から導入した。

これによって森林を適切に管理するとともに、木材生産の規模拡大を進めて「林業の成長産業化」を図るというのが国のシナリオである。

だが、各種の政策効果で国産材の生産量が増加しても、林家にとっての収支が改善しないままなら、林業が成長産業になったとは言えないのではないか。

 


意欲ある林家は現状維持を志向

現実に、今も所有林の経営に意欲的な林家が何を考えているかと言えば、木材が安価にしか売れない中で、無理に収入を確保しようとして伐り過ぎにならないように、むしろ所有林での生産活動を控えようとしている実態がある。

彼らにとっては、子どもやその先の世代になっても林業経営を続けられるようにすることこそが重要であり、そのためには山に木があり続ける状態を維持しなければならないからだ。つまり、何とか現状の維持を図ろうとしているのである。

ところが、国は新たなシステムの必要性を説明する資料で、林家の7割が経営規模に関して現状維持を志向しているとのアンケート結果をもとに、そのような林家を「意欲がない」と決めつけた(後に見解を修正)。

だが、それは曲解と言うべきで、林家の経営マインドに対する無理解を露呈することになった。

 


林家の手取り収入を増やしたい

増加する森林資源を活用することによって、伐採業への従事者を含めた雇用を拡大する意味は山間地域社会にとっても大きい。だが、そもそも林業は木を育てて山をつくるプロセスが不可欠であり、伐採という生産行為のみで成り立つ営みではない。

国は新たなシステムの担い手である「意欲と能力のある林業経営者」を「伐採業者等」だと位置付けている。

しかし、伐採業者を林業経営の代表選手であるあるかのように扱うのは適切ではなく、林業の成長産業化を言うのであれば、意欲のある林家が経営を持続でき、山づくりを続けられるようにすることも目指されなければならない。

そのためには、やはり林家の手取り収入が増えることこそが必要であり、立木価格を今後さらに上昇させることこそが政策目標に掲げられるべきだと強調したい。

 

PROFILE

林業ライター

赤堀楠雄


1963年生まれ、東京都出身。大学卒業後、10年余にわたる林業・木材業界新聞社勤務を経て99年よりフリーライターとしての活動を開始。現在は林業・ 木材分野の専門ライターとして全国の森や林業地に足を運ぶ。
 

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