J-クレジットを創る・売る・買うには? 林業ワーカー向けのカーボン・クレジット講座③
2024/01/29
「J-クレジット」とは、削減したり吸収したりしたCO2の量を、企業間などで取引できる一つ。国の認証によって発行され、日本国内で取引されるものだ。実際に、創る・売る・買うにはどうしたらよいのだろうか。
J-クレジットを
創る・売る・買う
創出されたJ-クレジットは、必要としている人へ売ることができる。同じように、J-クレジットを購入して調達することも可能だ。J-クレジットは、「創る」「売る」「買う」という3つのプロセスによって、創出者と活用者の双方にメリットがある持続可能な仕組みになっている。
出典:J-クレジット制度ホームページ
J-クレジットのつくりかた
Step 1 J-クレジット制度事務局に相談
J-クレジットを創出したいと思ったら、まずは事務局へ相談を。登録や申請に関する疑問に答えてくれる。条件を満たせば、登録に必要なプロジェクト計画書の作成をコーチングしてくれる場合もある。
Step 2 プロジェクトの登録
それぞれの方法論にしたがってプロジェクトの計画書を作成し、登録申請を行う。事務局の審査を経て、承認されれば、プロジェクト登録となる。事務局による支援制度もあるのでぜひチェックを。
Step 3 モニタリングの実施
プロジェクトの登録後には、CO2の吸収量を測るモニタリングを実施する必要がある。モニタリング報告書を作成し、審査を通過すれば、晴れてJ-クレジットを発行できる。
J-クレジットのうりかた
J-クレジット・プロバイダー
などによる売買の仲介
クレジットの仲介事業者である「J-クレジット・プロバイダー」を通じて売却する方法。売却価格や方法は、仲介事業者との間の協議で決める。
J-クレジット制度
WEBサイトへ掲載して売却
クレジットの量や特徴などの情報をJ-クレジットWEBサイトに掲載して、購入者を広く募集する。売却価格などは購入者との協議によって決定する。
J-クレジット
入札へ参加して売却
J-クレジット制度事務局が実施する入札販売で売却する方法もある。入札は年1〜2回実施されており、落札価格での売却となる。
NEWS
カーボン・クレジット市場が創設!
東京証券取引所は2023年10月11日、昨年からの実証事業を経て、カーボン・クレジット市場を開設した。同市場では、第一弾として、再生可能エネルギーの利用によるCO2削減量や、森林管理を通じた吸収量を国が認証する「J-クレジット」の取引が行われる。市場参加者は、CO2削減に取り組む企業や自治体などが中心で、すでに243者が取引に参加している(2023年12月6日現在)。
文/山下幸恵(office SOTO)
監修/元日本大学生物資源科学部教授 丸山温
FOREST JOURNAL vol.18(2023年冬号)より転載