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いまキチンと知っておこう! 林業で働く人のための《カーボン・クレジット講座》①

「脱炭素」「カーボンニュートラル」「カーボンクレジット」。最近耳にすることも多くなってきたが、内容まできちんと理解できているだろうか。林業に携わる人なら必ず知っておきたい用語を解説!

TOPIC1
脱炭素とは?

CO2削減で気候変動を防ぐ
森林による「吸収」も重要

近年、「脱炭素」という言葉をよく耳にするようになった。脱炭素とは、温室効果ガスの排出量を減らすのに役立つ取り組みのこと。地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一つが二酸化炭素(CO2)だ。大気中にCO2が増えすぎると、気温が上がって、さまざまな気候変動をもたらす。例えば、これまでに経験したことがないような豪雨や高温などの異常気象の他、植物や生き物の生息域を変えてしまうような生態系への影響も確認されている。

そこで、日本を含む世界の国々は今、気候変動の解決に向けて、脱炭素に取り組んでいる。2015年に国連のCOP21という会議で合意された「パリ協定」は、脱炭素に関する世界共通の目標だ。

パリ協定って?


世界の平均気温の上昇を2℃未満、できる限り1.5℃に抑える努力をすることを、国連に加盟する159の国と地域が約束した。

こうした背景を受け、米国や欧州など126の国と地域は、2050年までにCO2排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと表明している。日本でも、菅義偉前首相が、2020年の所信表明演説でカーボンニュートラルを目指すと宣言した。

カーボンニュートラルって?

私たちの活動によるCO2の排出量と、森林などによるCO2の吸収量を同じにして、人間の活動によるCO2排出量の増加をストップさせること。つまり、カーボンニュートラルを達成するには、CO2削減だけでなく、CO2の吸収も同じくらい重要ということだ。

CHECK!

バイオマス発電にもある、環境価値とは?

例えば、バイオマス発電によって生み出された電気と火力発電による電気とでは、電気そのものの価値には違いがない。どちらの発電方法で作られた電気も同じように、照明をつけたり、設備を動かしたりできる。その一方で、火力発電は、発電する際に化石燃料を燃やすため大気中のCO2を増やすが、化石燃料を使わないバイオマス発電は、CO2を増やさずに発電できる。

バイオマス発電のように、CO2を増やさない発電方法によって作られた電気がもつ価値のことを「環境価値」と呼ぶ。環境価値は、「カーボン・クレジット」という取引に適した形に変えられて、広く売買されている。

TOPICS2
カーボン・クレジットとは?

CO2削減・吸収量の取引
さまざまなタイプが存在

「カーボン・クレジット」とは、削減したり吸収したりしたCO2の量を、企業間などで取引できる形に変えたもの。CO2の削減量や吸収量は、そのままでは取引できない。そのため、取引しやすいように形を変える必要がある。このように、CO2の削減量・吸収量を売買可能なクレジット(排出権)にしたものをカーボン・クレジットと呼ぶ

POINT

『排出削減系』と『炭素吸収・除去系』

カーボン・クレジットは、創出の方法によって大きく2つに分けられる。1つ目は、再生可能エネルギー設備や省エネルギー設備の導入などによってCO2排出量を減らす「排出削減系」。2つ目は、森林の管理や植林活動などによる「炭素吸収・除去系」だ。カーボンニュートラルの達成には、持続的にCO2を減らすことができる「炭素吸収・除去系」のクレジットが重要な役割を果たす。



カーボン・クレジットの種類

 日本のカーボン・クレジット 
 『J-クレジット』 


国の認証によって発行され、国内で取引されているものとして「J-クレジット」がある。J-クレジットは、企業や自治体、団体や個人など、幅広い主体が創出・活用できるため、さまざまな取り組みに利用されている。


 日本の環境技術を開発途上国へ 
 『CDM』『JCM』 


国家間で取引できる公的なカーボン・クレジットとして、京都議定書をきっかけに作られた「クリーン開発メカニズム(CDM/Clean Development Mechanism)」や、「二国間クレジット制度(JCM/Joint Crediting Mechanism)」がある。JCMは、モンゴルやベトナムなどとの間で取引された実績がある。


 優れたCO2吸収源『ブルーカーボン』を活用 
 海の分野での脱炭素対策 


民間によるカーボン・クレジットとしては、海の藻場の再生などによるCO2吸収量をクレジット化した「Jブルークレジット®」が挙げられる。


文/山下幸恵(office SOTO)
監修/元日本大学生物資源科学部教授 丸山温

FOREST JOURNAL vol.18(2023年冬号)より転載



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