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オフセット? J-クレジットとは?林業で働く人のための《カーボン・クレジット講座》②

今、「脱炭素」が話題だ。脱炭素は林業とも深い関わりがあり、「カーボン・クレジット」を通じて新たな収益を獲得できるチャンスにもなる。今回は、「カーボン・オフセット」「J-クレジット」について解説する。

TOPIC3
カーボン・オフセットとは?

どうしても減らせないCO2
クレジットで「打ち消す」

そもそも、なぜ、CO2の削減量・吸収量をカーボン・クレジットに変えて取引するのだろうか。世界的に脱炭素の機運が高まる中、国内でもさまざまなCO2削減対策が進められている。例えば、再生可能エネルギー設備の導入や、省エネルギー設備への更新など。しかし、こうした対策だけでは、どうしても減らせないCO2排出量が残ってしまう。それではカーボンニュートラルを達成できない。

そこで、残ったCO2排出量を打ち消すのに使われるのが、カーボン・クレジットだ。カーボン・クレジットを使えば、残った排出量を相殺(オフセット)してカーボンニュートラルを実現しやすくなる。このように、CO2排出量を打ち消すことを「カーボン・オフセット」という。

 カーボン・クレジットを 
 創るメリット 

カーボン・クレジットの創出者は、取引によってクレジットの売却益を得ることができる。売却益を再投資すれば、さらなる森林管理や植林などの活動を促進することもできるだろう。

 カーボン・クレジットを 
 買うメリット 

カーボン・クレジットを購入した企業は、自社の削減努力だけではCO2削減目標に到達できなかった場合でも、オフセットによって目標をクリアし、カーボンニュートラルの達成(=排出量と吸収量を同量にすること)に近づくことができる。


出典:オール東京62市区町村共同事業「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」ECOネット東京62ホームページ

このように、カーボン・クレジットの取引によって、クレジットの活用者と創出者の双方にメリットが生まれる。

カーボン・クレジットのひとつであるJ-クレジットは、森林を適切に管理することによって創出することができる。クレジットの創出方法である「森林管理プロジェクト」とは、いったいどのようなものか、詳しくみていこう。

TOPIC4
J-クレジットの
森林管理プロジェクト

J-クレジットの「森林管理プロジェクト」では、次の3つの方法論によってクレジットを創出できる。それぞれの方法論には、クレジット創出のルールが細かく定められていて、それらにしたがって登録・申請することで、J-クレジットの認証を得られるという仕組みだ。

たくさんあるJ-クレジットの種類
森林分野のプロジェクトは3つ


出典:J-クレジット制度ホームページ「登録プロジェクト一覧」より引用

他に、森林分野に関連するものとしては、木質バイオマス燃料を化石燃料などの代用として使う方法論もあり、これまでに多くのJ-クレジットが創出されている。


文/山下幸恵(office SOTO)
監修/元日本大学生物資源科学部教授 丸山温

FOREST JOURNAL vol.18(2023年冬号)より転載

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