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木質バイオマスを知っておこう!前編:エネルギーだけじゃない!? 最新の実用化事例とは

バイオマスとは、生物(bio)と質量(mass)を組み合わせた造語で、動植物から生まれる再利用可能な有機性資源のこと。木材から成るから木質バイオマス。林業界の期待の星、木質バイオマスのキホンを知ろう。

 

木質バイオマスが
注目される理由とは?

今、日本の人工林の多くが樹齢50年を超え、伐採に適した「主伐期」を迎える中、新しい木材・森林資源活用が求められている。そのキーワードとなるのが「木質バイオマス」の利活用だ。

木質バイオマスには、間伐や造材のときに発生した小径木や枝葉などの林地残材、製材工場などから発生する端材、樹皮やのこ屑などのほか、住宅の解体材や街路樹・果樹の剪定枝などさまざまな種類がある。



よく知られているのは、木材チップ、木質ペレット、薪、木粉(おが粉)等を用いて発電や熱利用を行う木質バイオマスのエネルギー利用だろう。

2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が施行され、全国で木質バイオマス発電事業化の動きが活発化。

加えて持続可能な社会の実現を目指すSDGsと、2050年カーボンニュートラル達成に向けて、日本各地で木質バイオマスエネルギーの発電所や熱利用施設が増えている。



木質バイオマスはエネルギー利用だけではない。製材やエネルギー燃料といった従来の木材利用とは異なる分野で、木質系新素材の実用化に向けた研究開発も進んでいる。

そのひとつのセルロースナノファイバーは、木材などの植物繊維の主成分であるセルロースをナノサイズ(1mmの100万分の1)にまで細かく解きほぐした新素材。プラスチック製品からコスメ、お菓子まで幅広く商品化されている。

山に恵まれた日本人は少し前まで、薪や炭をエネルギーに使い、木の家に暮らし、紙をリサイクルして、山や森林の資源を上手に活用してきた。こうした原点に戻って、木質バイオマスについてきちんと考えてみたい。

 

業種別の
木質バイオマス利用動向

「電気・ガス・熱供給・水道業」が全体の半分を占め、次に「製造業」の順になる。

さらに製造業の中では「パルプ・紙・紙加工品製造業」がダントツのトップで、「合板製造業」、「製材業、木製品製造業」と続く。


出典:「令和2年木質バイオマスエネルギー利用動向調査 業種別木質バイオマスの利用量」(農林水産省)

 


文:後藤あや子

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