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増加する山林の売買。 “森林探偵”の需要が高まる

所有する森林を手放したい人も森林を所有したい人も多く、山林の売買は今後増える見込みだ。そこで重要になるのが、森林経営に前向きな人への譲渡だ。実は自治体も、所有権や境界線確定、譲渡先の森林管理能力の判定などの作業は苦手な分野なので、新規ビジネスとして参入余地もあるだろう。

前編:『林業界最大の問題とは何か?』コチラ!

森林探偵の需要が高まる

最近は、林業と聞けば伐採作業ばかりが目につく。しかし、実は意外とデスクワークも多くある。役所関係の手続きや補助金申請などの書類づくりも重要だ。またそのためのデータとして現地の森林調査も欠かせない。所有者や境界線の確定もその一つである。ただ、そうした実務を苦手とする人も多いのが実情だろう。

だから森林探偵のような森林の土地そのものに関わるビジネスも、今後はますます必要とされるだろう。

愛知県新城市の穂の国森林探偵事務所は、森林の境界線確定事業のほかにもさまざまな事業に取り組んでいる。森林活用のノウハウ提供や、経営計画策定サポート、林地台帳の整理、意向調査、獣害対策、人材育成など幅広く「木を伐るだけではない山仕事」を行っているのだ。

近年は、山林売買のマッチングを行う「森の養子化事業」も立ち上げた。別途、一般社団法人森林再生機構を設立している。これは森林を持て余している所有者から森林の譲渡を受け付ける窓口だ。そしてその森を、しっかり管理できると確認できた組織(林業家・企業・NPOなど)に販売もしくは譲渡する。

現在は100ヘクタールを超える山林の売買支援や3ヘクタール以下の小規模な森林の寄付受付と活用方法の提案などを試験的に行っているという。購入する側の意図する使い道は、林業とは限らずレクリエーション用や福利厚生や社会貢献などもある。しっかり森林管理をするところに森林を所有する仲立ちである。

そこで法律や税金の専門家も加えて、森林の価値の見極めや所有権の整理などを行う。そこに付随する登記・測量、そして取得後の森林整備などを実費で請け負うことになる。単に売買を仲介するだけでなく、もっと明確に双方の要望と目的に寄り添って満足のできるマッチングをめざす。




増加する山林売買

山林の売買は今後増えていくだろう。所有する森林を手放したい人が多いのだ。相続したものの山から遠く離れた地域に住み、また生活も仕事も都会で完結している場合、森林を所有するメリットはない。それどころか固定資産税を始めとして負担ばかりが被さってくる。近年増加する自然災害でも、土砂崩れや道路や民家への倒木などを引き起こすとトラブルの元だ。

一方で、森林を所有したい人も少なくない。規模を拡大したい林業事業者、あるいは新規参入を計画している人も増えているからだ。また林業でなく、企業が社員の福利厚生、あるいは資産管理や社会貢献の一環で森林の所有に興味を示すところが現れている。

すでにネット上にも全国の山林売買のお手伝いをしている業者がいくつか現れている。需要は今後増えていくのではないか。ただ、所有権や境界線確定、そして譲渡先の森林管理能力の判定などをしっかりしないと、単なる原野商法になりかねない。

国は昨年から森林経営管理制度をスタートさせた。これは森林経営に消極的な山主から森林を市町村が預かり、それを意欲的な事業体に委託する、あるいは自治体自身が経営することを可能にするものだ。そのための財源として森林環境譲与税も設けられた。

これらをより有益に機能させるためにも、森林経営に前向きな人への譲渡が重要になってくる。実は自治体も、こうした作業は苦手な分野だ。そこに新規ビジネスとして参入余地もあるだろう。




PROFILE

森林ジャーナリスト

田中淳夫


静岡大学農学部林学科卒業後、出版社や新聞社勤務を経て独立し、森林ジャーナリストに。森林や林業をテーマに執筆活動を行う。主な著作に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)、『絶望の林業』(新泉社)など多数。奈良県在住。

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