「体格に合った道具の配置にこだわっています」ベテランツリーワーカーの装備大公開!【矢澤貴司さん】
2026/10/23
地上からの高さや不安定な作業姿勢など、特殊な環境下で行われるツリーワーク。ハーネスに付ける装備の使いやすさは、作業効率や安全性を高めてくれる。今回は、日本ツリークライミング®チャンピオンシップ2022年・24年では優勝経験もある矢守産業の矢澤貴司さんの腰回り装備を教えてもらった。
ベテランツリーワーカー矢澤貴司さんの
腰回り装備を紹介
プロフィール
矢守産業
矢澤貴司さん

素材生産から特殊伐採、木材輸送まで幅広く行う矢守産業の副社長。日本ツリークライミング®チャンピオンシップ(JTCC)では2022年と24年に優勝。International Society of Arboriculture(ISA)の認定ツリーワーカー/クライマースペシャリストも務める樹上作業のエキスパート。
基本装備
[シット]クライミングハーネス with multiple bridge/Husqvarna
[トップハンドルソー]Husqvarna製各種

ハスクバーナのブランドアンバサダーを務める矢澤さん。
「いろいろなハーネスを履きましたが、体格が大きいせいか、ウエストパッドの幅が狭い製品だと肋骨付近が押される感じがしました。ハスクバーナのクライミングハーネスは、基本設計はツリーモーションと同じで、樹上での装着感が良く、使い手に応じて腰回りの道具配置などをカスタマイズしやすい点が気に入っています」。
ほぼ同じ作りでブリッジの長さを調節できるDMMのキニシも使用。「作業内容やその日の気分で使い分けています」。

ハーネスの右側には手ノコやチェンソーなどの刃物系の道具を配置。左側にはヒッチコードやスリングなどナイロン製品をラッキング。「手ノコは伐採のときはカーブタイプ、せん定のときにはストレートタイプと使い分けています」。

右側のレッグパッドには、リギングロープを仮固定するための小型カラビナを装着。「手足が長いので自分の体格に合った道具の配置にこだわっています」。
Q1 道具選びのポイントやこだわりを教えてください
樹上では道具のちょっとした使い勝手が作業効率に大きく影響します。道具のラッキング一つにしても、使いやすそうなアイデアが浮かんだら木の上でも付け替えてみるなど、思い立ったら即実行しています。作業前の点検も大切。現場で打ち合わせをしながらハーネスやカラビナに触り、傷みやゲート開閉の感触などをチェックしています。高所恐怖症ですが、自分できちんと点検した道具に命を預けることに不安はありません。
Q2 道具の情報収集や購入はどのようにしていますか
林業やツリーワーク用品を扱う専門店のサイトや、地元にあるぺツルの代理店などで主に購入しています。ただ実際に身に付けて仕事をしないと使用感が分からないため、自分の体格に合わなかったりしてお蔵入りになったものもたくさんあります。モノづくりが得意な同業の友人から手作りの使いやすい道具をもらうこともあります。
Q3 いま注目している道具を教えてください
ハーネスを含めて腰回りに付ける装備や小物は、ここ10年程でようやく満足できる完成形になったと感じています。強いてほしいもの挙げると3Dプリンタでしょうか。それがあれば使いやすい小物や道具をもっと簡単に手作りできるのでは、と考えています。現場ではグラウンドワーカーもしているので、リギング関係ではロープがキンクしにくいノッチのシックスパックを試してみたいです。
Pick up
SRT用の手作りネックレス

SRTでクライミングするときにチェストハーネスの代わりに使用。「チェストハーネスは胸部の圧迫感が苦手ですが、ネックレスタイプだと気になりません」。富山の同業者の友人による手作りといい「万一、体重が掛かっても結び目がほどけて首を圧迫しない安全構造です」。
ランヤードロープ収納用リール

SRT用ネックレスと同じ友人による手作り品。任意の長さで伸ばしたり巻き取ったりできる。「長さ5メートルのロープを使う分だけ伸ばせて便利。脱着はマグネット式で、鉄の台座を付ければ他のハーネスにも簡単に付け替えられる優れモノです」。
手ノコのさやと一体型のせん定はさみホルダー

手ノコのさやに革製せん定はさみホルダーを結束バンドでセット。「作業中じゃまにならず、位置的にも迷わず取り出せるので非常に便利です」。ハーネスのラッキング用ツール装着部分に手ノコのさやをあえて取り付けることで「さや自体が固定されて回転しないように工夫しています」。
写真/烏頭尾拓磨
文/渕上健太
FOREST JOURNAL vol.29(2026年秋号)より転載













