【レビュー】林業ライターがバッテリーモデルのトップハンドルソーを試してみた!
2026/10/16
ツリーワークで欠かせないトップハンドルソーに、バッテリータイプが相次ぎ登場している。静音性や始動性、取り回しの良さに加えて、パワーやトルクも大きく向上したプロ向けの最新5機種をテストした。
1.樹上作業でのシェアを高めるバッテリータイプ
2.バッテリー式トップハンドルソー 選定のポイントは?
3.各社のトップハンドルソー5製品を比較
-ECHO「BCS510T カービング仕様」
-HUSQVARNA「T542iXP」
-ZENOAH「Gi400T」
-京セラ「DCS3620T」
-STIHL「MSA 220 TC-O」
3.レビュー結果
4.今回のまとめ
樹上作業でのシェアを高める
バッテリータイプ
騒音が気になる住宅地でも安心して使えるバッテリータイプのチェンソー。なかでもトップハンドルモデルは取り回しが良く、スイッチ1つで始動する操作性の良さで樹上作業でのシェアを高めつつある。排ガスによる環境や健康への影響を気にせず使える安心感とメンテナンスの手軽さも魅力だ。
そうした中、主要メーカーだけではなく、国内電動工具メーカーも自社製品と互換性のあるバッテリーを使ったプロ向け機種に参入。出力やガイドバー長、機体サイズなどツリーワークに照準を合わせたさまざまな製品が出揃い、選択の幅が広がってきている。
こうした動きを受けてバッテリータイプのトップハンドルソーを使うツリーワーカーも近年増加。ただエンジン式と比べるとまだ少数で、複数機種の使い勝手を実際に試せる機会が少ないのが現状だ。
バッテリー式トップハンドルソー
選定のポイントは?
バッテリータイプのトップハンドルソーで、まず気になるのがパワーや鋸断性能。さらに樹上での取り回しの良さやハーネスでの携行性を左右する軽さも重要になる。
音や振動が伝わるエンジン式と異なり、運転スイッチを切り忘れても気付きにくいだけに、誤ってアクセルを握るなどしてソーチェンを誤回転させてしまう事故を防ぐ安全機能もバッテリータイプ独自と言える。
そこで今回は「パワー」「軽さ」「安全機能」「樹上での取り回しの良さ」の4項目をレビューした。
各社のトップハンドルソー
5製品を比較
ECHO BCS510T カービング仕様

●バッテリー電圧:50V
●バーサイズ:25cm
●チェンタイプ:25AP-60E
●本体重量:1.6kg
●価格:96,800円(税込)※1Pバッテリー・充電器付属
●問:やまびこジャパン
>ECHO BCS510T カービング仕様のレビュー結果はこちら<
HUSQVARNA T542iXP

●バッテリー電圧:36V
●バーサイズ:35cm
●チェンタイプ:SP21G
●本体重量:2.9kg
>HUSQVARNA T542iXPのレビュー結果はこちら<
ZENOAH Gi400T

●バッテリー電圧:36V
●バーサイズ:25cm
●チェンタイプ:SP21G
●本体重量:2.5kg
>ZENOAH Gi400Tのレビュー結果はこちら<
京セラ DCS3620T

●バッテリー電圧:36V
●バーサイズ:250mm
●チェンタイプ:80TXL-46E
●質量:3.1kg ※ガイドバー、ソーチェン、バッテリー(DB3625L)含む
>京セラ DCS3620Tのレビュー結果はこちら<
STIHL MSA 220 TC-O

●バッテリー電圧:36V
●バーサイズ:30cm、35cm
●チェンタイプ:3/8”P PS3
●本体重量:2.7kg
>STIHL MSA 220 TC-Oのレビュー結果はこちら<
チェックポイント
実際に5機種を使用して以下のチェック項目でレビューを行った
1:パワー・鋸断性能
2:軽さ
3:安全機能
4:樹上での取り回しの良さ
レビュー結果

レビュー1:ECHO
BCS510T カービング仕様
| ① | ◯ | コンパクトかつ50Vバッテリーでパワフル |
|---|---|---|
| ② | ◎ | 手ノコ感覚の軽さを体感 |
| ③ | ◯ | チェンブレーキ作動時の表示機能が安心 |
| ④ | ◎ | 不安定な枝先でも取り回し良好 |
10インチの軽量カービングバーで枝を手返し良くカッティング
50Vバッテリー搭載でパワフルながらも軽量コンパクト
レビュー2:HUSQVARNA
T542iXP
| ① | ◎ | エンジン式に近い力強い粘りを発揮 |
|---|---|---|
| ② | △ | ハーネスに長時間付けるとやや重い |
| ③ | ◎ | チェンブレーキ表示、自動電源オフ機能で安心感 |
| ④ | △ | 細枝カットでは重みを感じる場面も |
自動電源オフ機能やスライド&プッシュの二重ロック機能のアクセルで安全性が向上
小径木の連続カット時などにバッテリー使用量を抑えられる「SavE™」モード搭載
レビュー3:ZENOAH
Gi400T
| ① | ◯ | 40cm³ 並みパワーで硬い木でもゆとりがある |
|---|---|---|
| ② | ◯ | 重すぎず軽すぎない、中間のイメージ |
| ③ | ◯ | チェンブレーキ作動時の表示機能 |
| ④ | ◯ | オールマイティに使えるサイズ感 |
バッテリークーリングシステムでバッテリーとコントロールユニットを冷却。長時間作業が可能
樹上での正確なカットを実現する視認性の高い新設計のハンドガード
レビュー4:京セラ
DCS3620T
| ① | ◯ | 薄刃ソーチェン採用で高速カッティング |
|---|---|---|
| ② | ◎ | 長時間ハーネスに付けても疲労が少ない |
| ③ | △ | チェンブレーキのかけ忘れに注意が必要 |
| ④ | ◎ | 作業ポジションを問わない取り回しの良さ |
27m/sの高速チェンスピードと薄刃で食いつきの良い80TXLソーチェンで素早いカッティングを実現
18V仕様の同社製電動工具にも使用可能な36Vデュアルパワーボルトバッテリー
レビュー5:STIHL
MSA 220 TC-O
| ① | ◎ | 太枝カットから玉切りまで余裕でこなす |
|---|---|---|
| ② | △ | ハーネスに長時間付けるとやや重い |
| ③ | ◎ | チェンブレーキ表示、自動電源オフ機能で安心感 |
| ④ | △ | 細枝カットでは重みを感じる場面も |
樹上での安心感が大きいアクセル停止時の本体スイッチの自動オフ機能
メンテナンス性に優れた脱着式エアクリーナを搭載
今回のまとめ
バッテリータイプのトップハンドルソーは、外観だけでは機種ごとの違いがわかりにくい。ただ並べて使うと、パワーや鋸断性、重量バランス、安全機能を含む細かな設計は千差万別だった。
樹上作業ではオーバースペックな機種の携行は重量増につながり、身体負担が増すだけに、ジャストサイズの機種選びが一層重要になる。
40㏄クラスのエンジン式と同等のパワーを持つモデルも相次ぎ登場している中、枝のカッティング、太枝の鋸断やトップカット、中〜大径木の断幹、または地上での枝払いや玉切りなど、作業シーンに合わせた機種選びの大切さをレビューを通してあらためて感じた。
安全機能では、今回対象の機種では京セラを除く4社がチェンブレーキ作動時の表示機能を搭載。またスチール、ハスクバーナの 2社が一定時間がたつと自動で電源をオフにする機能を備えていた。
運転スイッチのオン・オフ状態がわかりにくいのが不安でバッテリータイプを敬遠している人もいる中、欧米メーカー先行で安全機能の充実化が進んでいる。
バッテリータイプはエンジン式と異なり燃料補給をしないため、チェンオイルの給油忘れが起こりがちだが、スチール、ゼノア、ハスクバーナの3社はオイル残量が減るとインジケータで表示する機能を搭載。各社がこうした機能付加を進める一方、京セラはシンプルさが特徴で、ユーザーの好みに応じた選択が可能になっている。
樹上作業ではポジションや風向きによってチェンソーの排ガスを吸い込みやすい場面もある。騒音だけでなく、混合燃料の排ガスによる健康影響にも関心が高まりつつある中、特伐現場を中心にバッテリータイプのトップハンドルソーのシェアは今後さらに高まりそうだ。
PROFILE
福永けんた

山梨県で暮らす林業従事者兼フリーライター。現場では新ダイワ「E2125TS」やSTIHL「MS 201 TC–M」を使用。
文/福永けんた
撮影/福永野原
FOREST JOURNAL vol.29(2026年秋号)より転載













