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【デジタル化進むフィンランド】ほぼ同等の森林面積で、木材収量3倍なのはなぜ!?

ほぼ同等面積で木材収量は3倍?
その理由はデジタル化にあった!

教えてくれた人

ヨエンスー市ビジネスセンター開発マネージャー

ティモ・タハヴァナイネン氏

 
「日本とフィンランドの森林面積はほぼ同じですが、木材生産量は日本の約3倍の約6千万㎥を誇ります(図1参照)。

図1 日本とフィンランドの森林に関する比較

生産量が多い理由の1つは、100年以上前から森林データのデジタル化が進められ、需要に対して迅速で効率的な伐採ができるようになったことです。1921年には国有林の面積調査が始められ、森林所有者登録名簿がデジタル化され、最新データへ誰でもアクセスできるようになりました。

2つ目の理由が、「ケスラ社」「ワラタ社」に代表されるように、我が国に本社を構える高性能林業機械メーカーが牽引し、先進技術を導入した効率的な林業を実践してきたことです。図2にあるように、伐採機械化は90年代から急速に加速し、2019年にはすでに100%機械化されています」。

図2 フィンランドにおける伐採作業の機械化推移(1985〜2019年)



高精度のリモートセンシングに
基づく森林情報が
林業にもたらすメリット

教えてくれた人

フィンランド森林センター 森林スペシャリスト

ユッシ・ラッパライネン氏

 
国営のフィンランド森林センターは、2010年から胸高直径や密度など林分に関するデータの蓄積を行っていますが、その精度は数ある国の中で一番だと自負しています。

樹冠高、収穫可能性マップ(土壌の収容力)などの様々なデータは、林業業務の品質向上や、作業負担の削減に寄与しています。当センターの森林データは、森林経営計画や伐採に必要な人材の採用まで広く利用されています。

データを集めた上で行うことは、モデリングです。1つのエリアでの航空写真の撮影から最終的なモデリングまで1年かかりますが、GISを使ってその数値を蓄積し、アップデートしたものはセンターのサーバーから簡単に入手可能です」。

<森林データ活用のメリット>
●木材調達におけるフィールドワークの大幅な削減
●森林計画の基本データとして使用可能
●データ活用による効率的な森林サービスのマーケティング
●新ビジネスの創出


文:脇谷美佳子



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