検知の効率が劇的に向上! 検知アプリ「iFovea Pro」の性能とは
2020/02/20
素材検知アプリ「iFovea Pro」は、はい積みされた丸太をスマホで撮影するだけで、丸太の本数・直径・材積が計測できる優れモノ。林野庁のレポートを基に、その実力を分析する。
素材検知の効率が
最大で8倍に!
アジア航空株式会社HPより
ドイツのフォヴィア社が開発し、日本語版をアジア航測がリリースするiFovea Pro。画面の指示に従って、はい積みされた丸太の小口が映るように写真を撮影するだけで、本数・直径・材積を簡単に計測できる。取得したデータはアップロードされ、ウェブサイト上で管理できることも魅力だ。
気になるのはその効率と精度だろう。林野庁の公表したレポート(『素材検知業務に係るICTの活用~モバイルアプリケーションを用いて~』/置賜森林管理署 業務グループ 森谷周平)からその実力を探っていこう。
同レポートでは検知業者から聞き取りした従来の作業工程と、iFovea Proを用いての作業工程とを比較している。最も大きな違いは、従来なら2人1組で実施していた作業がiFovea Proなら1人で行える点だ。作業時間も大きく短縮された。例えば、126本/19.1㎥の椪で比較すると、従来2人で50分かかっていた作業を、iFovea Pro導入後は1人で25分で終わらせることができた。つまり、生産性が4倍も向上したことになる。ほかにも6つの椪で比較した結果、4〜8倍の生産性の向上が見られた。また、椪が大きくなった場合にも、はしごなどを用いた高所作業が不要になるため、作業者の負担も大幅に軽減されたという。
精度にはやや誤差が生じるも
現場での出来高把握には十分
同レポートでは13の椪で、手作業による検知とiFovea Proによる検知を比較している。本数の誤差については、ズレがあった椪はわずか2山。誤差は1〜3本であることから、かなりの精度が期待できるだろう。一方で材積については誤差±5%以内の椪が5山に留まり、最大で–15%の誤差のある椪も見られた。とはいえ、素材生産の現場で日々の出来高を把握するには十分な精度と言えるだろう。実際に、最終的な検知は工場の機械などで行うため、土場では概算だけを知りたいという生産者も多いはずだ。素材生産の状況を迅速に把握し、スムーズに川下の需要に応える。スマート林業を目指す素材生産者にとって、iFovea Proは心強い味方になるだろう。
DATA
TEXT:松田敦