人も自然に還る!? 循環葬というあらたな選択肢
2023/09/20
森と生きる、森に還る、森をつくる。人と緑が循環するあらたなアプローチとして循環葬を提供しているReturn to Nature。森林や林業にどんな影響を与えているのか考えてみよう。
新しい埋葬方法
豊かな自然に囲まれて
自分らしい生き方の選択肢が増える一方で、誰にでも必ず訪れる「死」の選択肢は数少ない。
家制度、ジェンダー、宗教、国籍にとらわれず自由な発想で、その人らしく埋葬することができたらいいのに…『循環葬Return to Nature』はそんな人の想いに応える未来志向型の循環葬®サービスを提供している。
埋葬と聞くと墓地や墓標を想像する。しかし循環葬は日本全国の寺院所有の森(墓地)を拠点に、墓標も何も残さず埋葬。遺骨を土に還りやすく加工後、自然との循環を促す方法で埋葬するのが基本だ。売上の一部は、『循環葬Return to Nature』を通じて拠点となる森の保全活動に充てると共に森林保全団体に寄付される。
また、家制度・家父長制にとらわれない個人間契約のため法律婚の枠に入らない事実婚の夫婦(LGBTQ・異性)、友人同士でも同じ森に埋葬することが可能。
誰にでも訪れる〝死〟を森づくりにつなげ、自然豊かな未来に貢献しているのだ。
■Return to Natureの循環葬
森と生きる・森に還る・森をつくるという3つの主軸
1.森と生きる
Return to Natureの森は、生前から森林浴の場としてご利用いただけます。森の中をゆっくり歩き、お茶を飲んだり、本を読んだり、お昼寝したり。日本発祥といわれる森林浴は、欧米では自然療法として医療の現場で実用化されており、心身を癒す効果があるといわれています。大切な人が眠る森、いつか自分が眠る森の中で、ウェルビーイングな時間をお過ごしください。
2.森に還る
永遠の眠りにつかれたメンバーのご遺骨は、環境アドバイザー監修のもと自然循環しやすい方法でReturn to Natureの森に埋葬します。ご遺骨はやがて樹木の栄養に。森全体がおまいりの対象となるので、ご遺族やお仲間のお墓まいりの時間は「森林浴」や「癒しの時間」へと変わります。
◎環境アドバイザー
神戸大学 生命機能科学 土壌学
鈴木武志 助教
※ご遺族の代わりに循環葬を行う委託埋葬も可能。
3.森をつくる
ご契約金の一部は、Return to Natureの森の保全に充てるとともに、国内外で森づくりを行う森林保全団体に寄付します。日本は国土面積の約7割が森林という森林大国ですが、林業の衰退や人口減少を背景に、たくさんの森が長年放置され荒廃が進んでいます。循環葬Return to Natureという選択が、豊かな森をつくり次世代へとつなぎます。
循環葬と森林
未来に向けて
では『循環葬Return to Nature』は、森林にどのような影響を与えているのだろうか。
『循環葬Return to Nature』の森は、何十年と放置されてきた森を利用している。不法投棄されたゴミを撤去し、暗い森に光が入るよう間伐を行い、人が立ち入る森へと再生している。契約金の一部を森の保全に充てるため、未来の自然に貢献しているのだ。
遺骨の主成分は土壌の肥料として認められているリン酸カルシウムだ。
木が土に還り、やがて森の栄養となるように、人の生も死も、未来にとって価値あるものに変えていく。循環葬は「豊かな森」という遺産を残すために新たなサービスとして発展していくだろう。
写真:Mitsuyuki Nakajima (TO SEE inc.)
文:編集部