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林業者の取り組み

初期サインを見逃さない! 騒音、振動、排ガスによる健康障害の予防・ケアのポイント

チェンソーや重機を扱う林業では、振動、騒音、排ガスなどによる健康リスクと日常的に隣り合わせだ。初期症状は、手のしびれや耳鳴り、頭痛など、“よくある疲れ”として見過ごされがちなものも多い。違和感を放置しないことが、長く安全に働くための第一歩になる。

<目次>
1.職業病は日々の蓄積から重症化するケースも
2.3大職業病①騒音性難聴 耳鳴りや聞こえづらさは危険信号
3.3大職業病②排ガスによる健康障害 「少しくらい」の積み重ねが危険
4.3大職業病③振動障害 手のしびれ・冷えは放置しない

 

職業病は日々の蓄積から
重症化するケースも

林業は、重い機材を扱い、騒音や振動、排気ガスなど特殊な作業環境の中で身体を使い続ける仕事。そのため、一般的な腰痛や筋疲労だけでなく、林業特有の「職業病」にも注意が必要だ。代表的なものは、「振動障害」「排ガスによる健康障害」「騒音性難聴」だ。

画像:shutter stock

佐藤先生は、「林業では、振動工具や騒音、排ガスなど、健康障害につながる要因に日常的にさらされています。現在は工具の改良や作業時間管理、健康管理の徹底などによって改善している面もありますが、リスクがゼロになったわけではありません」と話す。

こうした職業病の厄介な点は、初期症状が見過ごされやすいことにある。作業後の手のしびれ、耳鳴り、軽い頭痛やめまいなど、「疲れ」「年齢」「一時的な不調」と片づけられがちな小さな違和感から始まるケースも少なくない。しかし、こうした初期症状を放置することで慢性化したり、回復しにくい障害につながったりすることもあるのだ。

また、職業病は一度の作業で突然起こるというより、長期間の曝露や疲労の蓄積によって徐々に進行するものが多い。「だからこそ、振動障害を予防する防振手袋、難聴のリスクを下げるイヤーマフなどの保護具の活用だけでなく、作業時間の管理、疲労を持ち越さないこと、違和感を覚えたら早めに休養や受診につなげる意識も重要になります。『このくらいなら大丈夫』と無理を続けないことが大切です」と佐藤先生。

職業病を誘発する可能性のある作業は、一人で長時間担わず分担して行うことも大切だ。身体に疲れが残る場合は、重筋作業を一時的に避けるなど、現場全体でリスクを管理する視点も欠かせない。それは安全性の向上だけでなく、結果として作業効率の改善にもつながっていく。

長く安全に山で働き続けるためには、日々の身体の変化に目を向け、職業病の初期サインを見逃さないことが大切だ。

3大職業病①
騒音性難聴

耳鳴りや聞こえづらさは危険信号

チェンソーや重機などの大きな騒音に長期間さらされることで起こる「騒音性難聴」。内耳の有毛細胞が傷つき、音を脳へ伝える働きが低下する病気で、一度進行すると基本的に回復しない。初期は耳鳴りや耳の詰まり感など一時的な症状で始まることも多いので、放置しないことが大切。特に高音域が聞こえにくくなるのが特徴なので注意したい。

\こんな症状に注意!/

● 耳が詰まる感じがする
● 耳鳴りがする
● 聞こえにくい
● 高い音が聞き取りづらい

予防・ケアのポイント
イヤーマフなどの保護具を正しく使用し、騒音曝露時間を減らすことが重要。仕事を離れた時間は、イヤホンや大音量を避け、静かな環境で耳を休ませたい。あとはしっかり睡眠をとることも大切だ。

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3大職業病②
排ガスによる健康障害

「少しくらい」の積み重ねが危険

チェンソーなどのエンジン排ガスには、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、ベンゼンなどの有害物質が含まれていて作業中に吸い込んでしまうリスクが高い。主な症状としては頭痛やめまい、咳などがあり、長期間の曝露によって神経や脳への影響など重大な健康被害につながる可能性もあるため注意が必要だ。

\こんな症状に注意!/

● 頭痛
● めまい
● 咳や喉の刺激感
● 目の違和感
● 息苦しさ

予防・ケアのポイント
作業時は排気を吸い込まないように風下を避け、換気できる環境を意識しよう。体調の異変を感じたときは、空気のきれいな場所で休み、症状が強い場合は受診を。パルスオキシメーターの携行も安心材料になる。

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3大職業病③
振動障害

手のしびれ・冷えは放置しない

チェンソーなどの振動工具を長期間使用することで起こる林業の代表的な職業病。症状が進むと、寒さで指が白く変色する白ろう現象」が現れることもある。かつて林業労働者に多発した「白ろう病」として知られ、手指や前腕の冷え、しびれ、痛み、筋力低下などを引き起こす。

\こんな症状に注意!/

● 手指のしびれ
● 手や腕の痛み
● 朝の手指のこわばり
● 冷えや違和感
● 指が白くなる(白ろう現象)

予防・ケアのポイント
工具の使用時間を守り、疲労を溜め込まないことが重要。作業後は手や腕を温め、入浴やマッサージで血流改善を。症状が続く場合は無理をせず、医療機関に相談しよう。

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教えてくれた人

佐藤修二先生

札幌ワーカーズクリニック院長。北海道大学教育学部卒、旭川医科大学卒。勤医協札幌病院労働衛生科科長などを経て開院。医学博士(過労死研究)、日本産業衛生学会指導医、労働衛生コンサルタントとして、職業病や産業保健、労働者の健康管理に幅広く携わる。


イラスト/PINO
文/藤田都美子

FOREST JOURNAL vol.28(2026年夏号)より転載

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