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林業者の取り組み

酷暑から身体を守れ! 事故を防ぎ、命を守る熱中症対策

危険な暑さが続く現代の夏。直射日光の下で長時間作業を行う林業の現場は、熱中症リスクが非常に高く、熱中症や脱水による集中力の低下は、重機やチェンソー作業中の重大な事故につながる可能性も。現場で役立つ熱中症対策と危険サインを専門医に聞いた。

<目次>
1.熱中症は”事故”にもつながる 林業現場で知っておきたい暑さ対策
2.熱中症が起こる要因
3.暑さに備える10分習慣
4.環境・水分・体調はこまめに確認
5.暑さ耐性を高める食事のコツ
6.もし、熱中症の疑いが出たらどうしたらいい?

 

熱中症は“事故”にもつながる
林業現場で知っておきたい暑さ対策

「熱中症は環境要因の影響が非常に大きいものです。林業に従事している人は筋力、体力ともに高い人が多いでしょうから、基本的に熱中症にはなりにくいと言えますが、高温環境の中で長時間働くことによるリスクには注意が必要です」と、熱中症に詳しい谷口医師は警鐘を鳴らす。

作業現場での熱中症が危険な理由として、熱中症による脳への影響があるという。「暑さと脱水に弱い脳や神経は機能が低下しやすく、作業精度の低下やミスとして現れます」。作業中の集中力や判断力の低下は事故にも直結するため、周囲が異変に気づくことも重要だ。特に午後は、午前の作業による疲労の蓄積、気温上昇、食後による血糖値変動などが重なるため注意したい。

熱中症予防の基本は、日頃から体調を整えておくこと。特に睡眠不足は、自律神経のバランスを乱し、体温調節機能を低下させる原因になるという。睡眠時間が6時間未満の人ほど、熱中症関連症状が出やすい傾向があるという報告もある。「夜はエアコンを適切に使い、しっかり睡眠を取ることが大切です。また、夜間に失った水分を補給する役割もある朝食を抜かないことも重要です」。

熱中症は、正しい知識と対策によって予防できる。現場で働く一人ひとりはもちろん、管理する側も熱中症対策への意識を高めておくことで事故を防ごう。

熱中症が起こる要因


熱中症は、高温多湿などの環境要因が一番影響するが、睡眠不足や脱水などの体調、無理な作業や水分・食事量の不足といった状況が重なることでリスクが倍増する

熱中症のサインを見逃さない
こんな症状に注意!

□ 作業の動きが鈍くなり、ミスが増える
□ 集中力、判断力が低下する
□ 頭痛やめまいがする
□ 吐き気やだるさを感じる
□ 足がつる
□ 汗のかき方が異常になる
□ 食欲が落ちる

暑さによる変化だけでなく「いつもと違う」ことにも目を向けよう!

暑さに備える10分習慣

熱中症対策として近年注目されているのが“プレクーリング”。作業前にあらかじめ身体を冷やしておくことで、深部体温の上昇を抑え、熱中症を予防する方法だ。休憩にも取り入れることで熱中症リスクを軽減できる。

Point 1
涼しい環境で身体を冷やしておく

炎天下へ出る前に、エアコンの効いた室内やクルマの中などで身体を冷やしておこう。10分程度でも体温上昇を抑えやすくなり、作業開始直後の身体への負担軽減につながる。

Point 2
アイススラリーの摂取

アイススラリーは、スポーツドリンクなどをシャーベット状にした飲料で、身体の内側から効率よく冷やすことができる。一般的な冷たい飲料より深部体温を下げやすく、屋外作業時にも注目されている。夏の現場では常備しておくと安心だ。

◆作業前に身体の内側からクールダウン

小さな氷の結晶と液体が混ざることで効率よく体内を冷却してくれるアイススラリー。汗に近いミネラルバランスの設計、暑い時でも飲みやすい優しい甘さ。容器にスマートパッケージを採用し、飲み口上部をつまんで引っ張ることでスマートに開閉できるところも魅力だ。

熱中対策水 アイススラリー ライチ
オープン価格
問/赤穂化成株式会社お客様相談室
TEL:0120-40-4139

Point 3
手のひらを冷やす


山林での作業なら、冷えた土に手のひらを当てるだけでも効果がある。その場合は手袋を外して行おう。

熱中症予防というと首やわきを冷やすというイメージがあるが、実はそれよりも効果的なのが手のひらや足の裏を冷やすこと。手のひらや足の裏には、体温を調整する特殊な血管(AVA血管)があるため、効率よく熱を逃がすことができる。急激に冷やすと血管が収縮して逆効果なので、10~15度程度の「少し冷たい」もので冷やすのがポイント。

環境・水分・体調は
こまめに確認

炎天下での作業は、暑さを避けることが難しいため、リスクを把握した上で水分補給や休憩をこまめに取り入れよう。

Point 1
暑さ指数をチェックする

熱中症対策では、気温だけでなく「暑さ指数(WBGT)」の確認が重要。WBGTは、気温、湿度、輻射熱(日差しや照り返し)をもとに算出される熱中症の危険度指標(単位は摂氏℃)。特に湿度の影響が大きく、気温1:輻射熱2:湿度7で構成される。時間帯や環境で危険度は変化するため、作業地域の数値はこまめに確認を。環境省・気象庁の「熱中症警戒アラート」も参考にし、測定器を活用するなどして、休憩や作業管理に役立てよう。

●熱中症警戒アラート


運動による指針/気温(参考)・暑さ指数:WBGT

Point 2
水分は頻回に、ほどよく塩分も補給する

夏の作業では大量の汗をかく。よかれと水ばかり飲むと体内のミネラルバランスが崩れてしまうため、水だけでなく塩分補給も必要だ。スポーツドリンクなど塩分入り飲料を積極的に活用したい。喉が渇いてからという体感に頼らず、時間を決めて頻回に飲むことで脱水を防ごう。

Point 3
体調をチェックしておく

睡眠不足や朝食抜き、疲労の蓄積は熱中症リスクを高める。朝礼時などに、その日の体調を確認し共有しておくことが重要である。自分自身だけでなく、周囲の異変にも気を配りたい。特に管理職は、現場全体を見守る意識が欠かせない。また、尿を増やす薬を内服している人は要注意である。

CHECK!

□朝食は食べたか
□睡眠不足ではないか
□前日に飲み過ぎていないか
□疲れが残っていないか(脱水のサインになります)

暑さ耐性を高める
食事のコツ

食事は栄養補給であるとともに大事な水分補給の機会でもあるので大切に。筋肉量を維持するためのタンパク質、汗で失われやすいミネラルやビタミンを意識して補給したい。特に夏場は、カリウムを含む夏野菜やフルーツ、疲労回復を助けるビタミンB1を含む豚肉などがおすすめ。水分をしっかり取りながら、身体の内側から暑さに備えよう。

これが理想!

お昼は豚のしょうが焼き

豚肉はビタミンB1が豊富で、暑い環境で作業することによる疲労対策にもなる。トマトやきゅうりなどの夏野菜は利尿を促すカリウムが豊富なので身体を冷やしてくれる。


休憩時にはフルーツを

バナナやキウイ、りんごなどはカリウムやビタミンCが豊富。水分と栄養補給が手軽にできるので休憩中におすすめ。

もし、熱中症の疑いが出たら
どうしたらいい?

熱中症や脱水が疑われる場合は、作業を速やかに止めてできるだけ涼しい場所で身体を冷やしながら水分補給をしよう。水分を自力で摂ることができれば、少しずつ回復するはずだ。もし、水分が摂れない、ペットボトルのフタが自分で開けられない状態ならすぐに救急車を呼ぶなどして病院へ。

1 涼しいところで横になり安静にする
できれば冷房のある室内や車の中、なければ日陰など少しでも涼しい場所へ移動し横になり、安静にする。

2 着ているものを脱ぐ
身体にこもる熱を逃がしやすくするため、ヘルメットや防護服など外せるものは素早くとり、極力薄着の状態になる。

3 風や流水を当てて身体を冷やす
エアコンや扇風機などで風を当てて身体を冷やす。プレクーリングで紹介した、手のひら、足の裏を冷やすのも効果的。

4 塩分入りの飲料を飲む
水分と塩分を補給するため、塩分入りの飲料を少しずつ飲む。塩分入りがなければ水やお茶でも500mL程度までならOK。

教えてくれた人

谷口英喜先生

済生会横浜市東部病院患者支援センター長、医学博士。専門は、麻酔学、集中治療学、周術期管理、栄養管理、経口補水療法、脱水症状など。熱中症・脱水症に関する報道で、多くのメディアに出演。著書に『熱中症からいのちを守る』『いのちを守る飲水学』(ともに、評言社)など。


文/藤田都美子
イラスト/PINO

FOREST JOURNAL vol.28(2026年夏号)より転載

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