ふと思う。『林業って雨の日はどうするの…? 休み?』林業3年生が綴る林業の日常
2022/10/18
林業に転職して3年目の林業家が生き生きと綴る「新米目線」のコラム! 第4弾は「雨の日の林業」を紹介。森林相手だけに外での仕事がほとんどであろう林業。……雨の日は休みになるのか。実際どうしているのだろう?
ふとギモンが。
雨が降る日の林業って……?
「林業って雨の日の作業はどうしてるんだろう?」
これは、僕が林業に転職する前に気になっていたことです。
林業への転職を検討しているときに、色々な記事を読んだり、動画を観たりしましたが、『雨の日』について取り上げられているものはほとんどありませんでした。 なので、実際どうなの?というところを今回の記事で書いていこうと思います。
雨の日、稼働か休みかは
働き方や請け方によって変わる
僕が所属している森林組合では、雨の日も仕事をしています。 台風や災害級の豪雨などの場合はもちろん休みになりますが、その際は、有休消化や、土日などに振り替えて出勤したりして調整しています。
雨の日が仕事なのか休みになるかどうかは、所属団体や会社ごとに違います。 それは、『月給制』や『日給月給制』などの『給与形態』の違いによるものが大きいのではないかと 思います。すべての会社がこれに当てはまるわけではないと思うので、これは僕の一考です。
僕が所属している森林組合は『月給制』で、『週休二日制』です。 月曜~金曜の朝から夕方までと、労働日数・時間が決まっています。 ですので、「雨が降っているから休み」とはならないのです。 僕の知人で日給月給で契約している方の話では、雨の日は休みで、休んだ時間、日数分、別日に出勤して、月の出勤日数を調整しているとのこと。
『月給制』、『日給月給制』、『日給制』などの説明は割愛させていただきますが、『給与形態』に よって働き方が変わってくるので、林業への就職・転職を検討している方には是非チェックしてい ただきたい項目だと僕は思います。給与形態について調べてみると、なるほどー、意外と知らなかった、と思うことがありました。僕の場合、「土日は休み!」と決まっている方が子供たち、家族との予定を組みやすいので、譲れないポイントでした。
また、企業などから依頼を受けて作業をする下請けでの作業の場合、「元請け企業が雨で休み」となれば、連なってこちらもその現場は休みとなります。 この場合は別現場で作業を行っています。
雨の日の林業、
どんなことをしているの?
『雨の日は現場作業をやめて、機械のメンテナンスなどを行っている』というのも見聞きした事が ありますが、僕の場合は通常通りに現場で作業しています。 草を刈る仕事も、木を切る仕事も、重機に乗る仕事も、雨の中で一通り経験しました。
『下刈り作業(植えた木の周りの草などを刈る作業)』は、普段より足元が滑りやすくなっていたりするので注意が必要ですが、雨が原因で仕事がツラい……ということはなかったです。 夏場の暑い時期であれば、小雨くらいが気持ち良い! と感じるくらいです。あんまりびしょ濡れに なると夏場でも凍えるほどの山の気候なので、着替えは用意しておきましょう!
『搬出間伐作業(混みいった木を間引くように切り、切った木を材にして運び出す作業)』の場合では、天気予報を確認し、晴れている間に木をある程度切り倒しておいて、雨の日に重機作業や運搬作業を集中して行ったりと、天候の予測に合わせた作業の振り分けをしていました。
木を切る作業が一番危険な作業なので、なるべく晴れた日に、なるべく乾いた地面で、なるべく安定した状態で行いたい作業です。 「なるべく」と強調しているのは、自然相手のお仕事なので、こちらの予定通りに上手くいくことばかりではないからです。
雨だからこそ、より気をつけたい
現場での注意ポイント
雨の中では、足元も視界も悪くなります。それだけ危険が増えるということなので、いつも以上に気をつかいます。 雨の日を見越して数日前から段取りを組むことで防げる事故などもあると思いますので、安全第一を考えて行動したいですね。
雨の日の作業では注意点をまとめてみました。
視界が悪くなる
単純に雨で前が見づらいのと、晴れの日より視界が暗いです。 山の中に陽が射さないと、思いのほか真っ暗に感じます。 また、ヘルメットについているフェイスシールドや保護メガネにも水滴がつき、視界が悪くなります。
足元が悪くなる
山の中での作業の場合、雨によって地面が崩れやすくなっているところが多く、岩も濡れると滑りやすくなったりと、危険度は高くなります。
チェンソーや刈払い機などの刃物が動いている状態で足を滑らせたりすると、大きな事故に繋る可能性も。なので、いつもの作業スピードより、ゆっくりと余裕を持って作業をすることを意識しています。 山の中での作業だけでなく、街の施設内の作業中などでも滑って転ぶことが多々あります(僕は本当によく転んでしまいます…気をつけます!) 。
集中力の維持
雨の日は、普段の作業着の上に雨具を着て作業をします。 雨具を着て動きにくく感じることはそんなにありませんが、ごわつきなどが気になる方はいるかもしれません。
長時間雨の中で作業をしていると、雨具を着ていてもインナーは濡れます。 また、雨具の中が湿気や汗によっても濡れるので、身体が冷えます。
晴れの時と作業条件が異なり視界や足元が悪い中、雨具を装着し、普段より慎重に作業を行うので、常に集中力をキープしておかないといけません。 一日中高い集中力を維持するのも大変です。しかし事故や怪我に繋がる可能性は高くなるので、いっそう気をつけたいですね。
清々しいときも厳しいときも
全部、自然相手の仕事だから
きれいな自然の景色って聞くと、太陽が輝いて、青空が広がっていて、山や森の緑がきらきら としていて…なんて画が浮かぶと思いますが、自然の中でのお仕事は厳しい環境の中での作業もあります。 だからこそ、きれいな景色に出会えた時が嬉しいと思えるのかもしれません。
「林業の雨の日の仕事」は会社によってそれぞれ違います。 今回の記事はあくまで一例として、参考にしていただければと思います。
それでは本日もご安全に!!
PROFILE
新米林業家
とてお
とある地方の森林組合に務めていて、林業3年生になったばかりの『林業初心者』。
「新米林業家とておの林業ブログ」にて、林業初心者目線で『林業』についての情報発信をしています。
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