作業前に『危険予知活動』、してますか? 安全のための確認作業だからちゃんとしたい。
2023/03/24
林業に転職して3年目の林業家が生き生きと綴る「新米目線」コラム! 第9弾は「危険予知活動」について。日々の安全対策としてのToDo、でもやり方にギモンが…。林業初心者の思う原因を語る。
「KY活動」、
実行していますか?
林業現場で働く皆さまは「KY活動」をしっかりと実践されていますでしょうか? そもそも「KY活動」を知らないという方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?
「KY活動」とは、
K=危険
Y=予知
「危険予知活動」という意味です。
「危険予知活動」とは、主に作業開始前などに行うもので、その日の作業内容や現場の環境などからあらゆる危険の可能性を探り、それらの危険に対しての対策を練ることで、事故やケガを回避するための大切な活動です。
大切な活動ではあるのですが、僕は今のところ、本格的に取り組んでいる現場に遭遇したことがありません。本格的というのは、危険予知活動の講習会などで行われるトレーニングのように、参加者全員で危険を洗い出し、危険への対策案を出し合って、深く話し合うような状態のことです。
では、実際に現場ではどのように行われているかというと、チームリーダーが危険予知活動の書類を一人でまとめて提出したり、「めんどくさいから書いといてー」と書類が回ってきて一人で書いて提出する、ということがほとんどです。
また、数週間ほど同じ現場で作業を行い、毎日危険予知活動の書類を提出する必要がある場合は、「毎日書くことが同じ」といういわゆるコピペ状態になることが多いです。
チェンソー作業の現場であれば、
・キックバックに注意
・周囲の確認
・伐倒時の合図
・足元の確認
などなど、
大体書くことが決まっていて、その日の天候や現場ごとの環境などに合わせた内容を記入することがほとんどで、ほぼ流れ作業のようににこなしている状態です。
もちろんこれは危険予知活動としてはほぼ機能していない状態ですので、改善する必要があると思います。しかし、理想と現実というのがあまりにもかけ離れていて、危険予知活動の講習会などの「お手本」ように行うためには相当な努力が必要、もしくは根本的なシステムの改善が必要だと思わざるを得ないというのが僕の考えです。
危険予知活動を
有効に実践するためには?
僕が危険予知活動を行うために一番重要だと感じるのは「やる気」です。危険予知活動をお手本通りに実践しようと思うと、チームメンバー一人ひとりのやる気=モチベーションがある程度高くないと実践するのは難しいと感じています。
例えば、こんな作業前ミーティングはどう感じるでしょうか。
リーダー 「今日の危険予知活動を始めます」
作業員A 「昨日の作業中、〇〇が発生したので、みなさんも気をつけてください」
作業員B 「Aさんの言っていることは確かで、自分も同じような状況になりそうでした。他にも△△が起こる可能性もあるので合わせて気をつけたいですね」
作業員C 「そんなことがあったんですね! 気をつけます! 自分は☓☓で失敗しそうになったので、今日も引き続き気をつけます!」
リーダー 「Bさんの指摘部分は確かに危険ですね! 今月は大きな事故も発生していないので、引き続き、気を引き締めて行きましょう!」
このような会話は一見、普通の会話内容に感じると思いますが、僕はこの会話を「とても熱量が高いミーティング」だと感じています。それほどまでに、普段の危険予知活動が流れ作業化していて、危険予知活動に対して作業員のほとんどが冷めている、といった印象を持っています。
上記のようなミーティングを行うには、メンバーそれぞれがお互いの話をキチンと聞いて、案を出し合い、全員で真剣に取り組むことが大切だと思います。チーム内で一人だけ熱量が高くても成立しなくて、安全対策に向き合い「全員で真剣にやる」ことが重要です。
しかし、チームメンバー全員のモチベーションを一定以上の高さに引き上げるのは中々難しい。「危険予知活動」をお手本のように実践すること、それを継続することは容易ではありません。しかし、「危険予知活動」というのは事故を防ぐために大切なミーティングなので、なんとかもっと参加意欲の高くなるような手段がないかと日々模索しています。
いかがだったでしょうか?
林業初心者の僕の視点からは「危険予知活動」はこのように見えています。そして、冒頭に紹介した危険予知活動を「KY活動」と称することについて、僕は正直疑問を抱いています。KY、KYと言うより、キチンと「危険予知活動」と呼ぶことで、安全意識がより高まると感じるからです。
流れ作業ではなく、本格的な危険予知活動を実践していけるよう努力を続けようと思います。どの作業でも最悪命に関わることの多い仕事なので、やった方がいい事は一緒にやりませんか?
それでは、本日もご安全に!!
PROFILE
新米林業家
とてお
とある地方の森林組合に務めていて、林業3年生になったばかりの『林業初心者』。
「新米林業家とておの林業ブログ」にて、林業初心者目線で『林業』についての情報発信をしています。
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