【最新動向】木質バイオマスが工業素材に変身した!? 建築物の木材利用拡大も加速中!
2022/10/19
「木質バイオマス」も今や、発電用だけでなく、化学産業や電機産業での実用化が進んでいる。さらに「カーボンニュートラル」実現に向けた法改正や取り組みも加速中。「森林・林業白書」で最新動向にキャッチアップ!
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カーボンニュートラル実現の社会へ
建造物の積極的な木材利用
建築物における木材利用をもっと促進するため、「公共建築物等木材利用促進法」を改正し、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市の木造化推進法)」が2021年10月1日に施行。
対象を公共建築物から建築物一般に拡大するほか、「木材利用促進の日」(10月8日)、「木材利用促進月間」(10月)の制定などを行った。
さらに、川上から川下までの官民の関係者が広く参加する「ウッド・チェンジ協議会」を立ち上げ、木材を利用しやすい環境づくりに向けた取組を実施した。
公共建築物の木材利用も進められ、2020年度に着工された公共建築物の木造率(床面積ベース)は13 .9%(うち低層は29.7%)。林野庁では、地域材利用のモデルとなるような公共建築物の木造化・内装木質化の応援も行う。
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大注目!
木質バイオマスのマテリアル利用
近年では、再生エネルギーの固定価格買取制度により、木質バイオマス発電所が各地で稼働し、エネルギーとして利用される木質バイオマスの量が年々増加している。
「燃料材の国内消費量の推移」では、2020年には、薪、木炭等を含めた燃料材の国内消費量は前年比23%増の1280万㎥でうち国内生産量は前年比29%増の892万㎥となっている。
木質バイオマスの木材工業素材としての利用に向けた動きも進展している。
木材の主要成分の一つであるセルロースの繊維をナノレベルまでほぐしたCNF(セルロースナノファイバー)は、軽量ながら高強度の素材で、紙おむつ、筆記用インク、運動靴、化粧品、食品、塗料などとして実用化が進んでいる。
同じく木材の主要成分・リグニンは高強度、耐熱性、耐薬品性等の特性を持つ樹脂素材で、工業材料として開発した「改質リグニン」を振動板に使用したスピーカーがすでに商品化された。
林業や木材産業に加え、化学産業や電機産業など幅広い業種による製品開発が進められている。
DATA
文:後藤あや子