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高精度&効率化を実感! データを一元管理できるアジア航測の技術、使ってみた感想は?

アジア航測が提供するスマート林業技術を、広大な森林を管理する三井物産フォレストが導入。ここでは、その両社の対談をお届け! 導入の狙いからメリット、運用することで見えてくる未来について語っていただいた。

メイン画像:森林の調査に『Forest Track』を活用。現地に行って写真を撮ると、自動的に座標付きでデータが取得できる。

 

INTERVIEW

アジア航測株式会社
森林・農業ソリューション部

大野勝正さん

三井物産フォレスト株式会社
業務部

伊藤史彦さん

精緻な山林データを整備し
森林づくりに活用

森林の現況を正確に把握し、将来を見据えて適切な管理を行う……。持続可能な森林経営の実現は、SDGsにも掲げられている目標の一つだ。

そうした背景のなかで「持続可能な森林づくり」を目指しているのが、三井物産フォレスト。日本の私企業として4番目となる約4万4000haもの面積の森林を保有する三井物産の社有林を管理している。

それをサポートしているのが『アジア航測』だ。航空測量をコア技術に、航空レーザー計測による解析データを活用した森林資源管理サービスの全国展開で知られている。


大野 三井物産フォレストさんには、当社のクラウド型GIS『ALANDIS+ Forest』と、現地調査支援アプリ『Forest Track』を活用いただいていますが、当社サービスを利用する理由を教えてもらえますか?

伊藤 林業経営の基盤となる精緻な山林データを整備し、持続可能な森林づくりに活用するためです。

これまでは施業計画や出材計画を立てようにも、現地調査には時間がかかり、調査範囲が限られるため、全体を俯瞰して計画を立てることに苦労していました。適切な森林管理を行うためには、森林資源データの見える化は必須です。それを実現するため、北海道十勝地方に位置する約4400haの管理に『ALANDIS+ Forest』を導入しました。

当社では、森林づくりの中長期的なビジョンを明確化して、社会・経済・環境のバランスの取れた森林経営を実現するため、管理するすべての山林に対してゾーニング(大別すると循環林、天然生誘導林、生物多様性保護林、天然生林)を行っています。森林の状況は刻一刻と変化しているため、場合によってはゾーニングの見直しを行う必要がありますが、その際不可欠となる地形情報、森林資源情報、路網情報等が『ALANDIS+ Forest』で一元管理されているため、クラウド上でそれらの情報を横断的に分析して再区分を行い、関係者間で即座に共有して閲覧できます。

また、現場の悩みの改善も目的でした。

これまで森林調査は現地に人が行っていましたが、この現地というのが遠い(笑)。自動車で片道1時間という現場も普通です。そのうえ北海道はヒグマが出て危険なんですよね。そこで『ALANDIS+ Forest』を用いてまずは机上で調査を行い、必要に応じて現地作業を行うことで作業全体の効率化が図れるのではないかと考え、現在試行錯誤しているところです。そして、東京本社とシステム画面を共有して様々な検討ができることも効率化に繋がっています。


三井物産フォレストでは、『Forest Track』で取得したデータを『ALANDIS+ Forest』と連携し、東京本社と現場の担当者が、オンラインで現場のデータを見ながら会議を行っている。

大野 2020年2月にデータやシステムを納品しましたが、使ってみた感想はいかがですか?

伊藤 導入後、納品されたデータが現場に適合しているのかの検証として、『ALANDIS+ Forest』で出材予測を行い、実際に得られた材と突き合わせました。その結果、レーザー計測データは誤差が1割程度に抑えられ、従来の標準地調査よりも高い精度で予測できることが確認されました。これは期待していた通りでした。

また、これまで作業計画の立案には、航空写真や森林計画図を活用していましたが、それでは微地形を把握することができません。『ALANDIS+ Forest』に搭載されているデータを利用して、作業手順や危険個所、事故発生時の負傷者の搬送経路等、細部まで事前に検討できるので、これもメリットに感じています。

大野 『Forest Track』は、どのように使われていますか?

伊藤 一番使っているのは、病虫害や獣害が発生している森林の調査です。『Forest Track』を使って、現地に行って写真を撮ると、自動的に座標付きでデータが取得できて、さらに『ALANDIS+ Forest』にアップロードできる。写真の整理は現場にとっては大変な作業です。個人のPCに蓄積されるだけだと、いつ、どこで撮ったのか、記録しなければいけません。その作業が効率化され、写真データを一元管理できるので助かっています。

大野 『ALANDIS+ Forest』と『Forest Track』を導入していただき、そして運用していく中で有効性を感じていただき感謝しています。当社の強みは『システムは何のために使われるのか、情報・データはどうあるべきか』を利用者目線で徹底的に考え抜いて、システム開発しているところです。ですから現場にも管理者にも、使いやすい仕様になっていると自負しています。

SCMの再構築と
データ利活用の展望

伊藤 これから将来に向けて、サプライチェーンマネジメント(SCM)にまでサービスを活用したい、という想いがあります。それには販売相手との調整が必要なので、あと一歩を踏み込めていませんが、取引先にも働き掛けて有効活用したいです。

大野 航空レーザー解析の資源情報は伐採前段階での山の在庫情報になると良いなと考えています。

伊藤 要望があった時いかに早く正確に応えられるかを山側は問われています。それを実現するには、航空レーザーの解析データが威力を発揮すると考えています。いつ、どれだけ施業して材を出せるかを、山側が継続的に発信することで、木材流通の最適化につなげていきたいです。

また、当社では、新たにレーザー計測データを活用したJ-クレジットの取得にも取り組んでいます。

CO2の吸収・排出量の算定を行う際、従来は現地で毎木調査を実施する必要がありましたが、規定が改定されレーザー計測データの使用が認められました。これまでは、広域の森林を対象にクレジットを取得する際、現地調査がボトルネックになっていましたが、航空レーザー計測データを用いることで、現地調査の労力やコストが削減され、新たなクレジット創出の可能性が広がります。

J-クレジットのような木材販売以外の収益の確保は経営の安定化に寄与し、持続可能で多様な森林づくりの推進につながると考えています。レーザー計測データはこのように様々な場面で活用することができますので、今後ますます重宝することになりそうです。

大野 ありがとうございます。データに触れることで気付きや課題が出てくると思います。当社はそれに応えていきます。こうしたデータ活用に正しく取り組んでいくことで、明るい林業の未来に繋がったら嬉しいですね。

PRODUCTS

森林クラウドシステム
「ALANDIS+ Forest」

森林簿、林地台帳や伐採届など各種台帳情報に加え、航空レーザ計測で取得した赤色立体地図などの地形情報、単木情報などの森林資源情報を一元管理できる。

 


現地調査支援アプリ
「Forest Track」

インターネットの繋がらない山林でも赤色立体地図や空中写真などの背景図と地番図などの境界情報をスマホに表示。内部/外部GNSSによりユーザの位置を地図上で確認でき、境界確認にも活用できる。

 

問い合わせ

アジア航測株式会社
TEL:03-3348-2281


FOREST JOURNAL vol.10(2021年冬号)より転載

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