再造林のコストを引き下げるパラダイムシフトを! 低コスト再造林プロジェクトが始動
2020/08/31
7月9日、JForest 全国森林組合連合会と農林中央金庫は、林業の成長産業化および持続可能な循環型の森林・林業経営を目的に、「低コスト再造林プロジェクト」を立ち上げることを発表した。
3つのポイントで、
低コスト化を目指す
同プロジェクトの背景にあるのは、人工林の成熟だ。戦後造林された森林の多くが林齢50年を超え、主伐期を迎えている。ところが、立木価格の低迷の低迷に加え、再造林コストが高止まりしていることから、再造林が難しい地域が出始めている。
手をこまねいていれば、利用の難しい大径木化が進み、さらに再造林のための費用を確保するのが難しくなる──。そんな負のスパイラルに頭を悩ませている林業家も少なくないはずだ。
「植える→育てる→収穫(伐採)する→植える(再造林)」が健全に循環し、持続可能な森林・林業経営を実現する。そんな目標を掲げる同プロジェクトでは、「再造林のコストを劇的に下げるパラダイムシフト」を起こすために、3つのポイントを掲げている。
①早生樹の活用
早生樹とは呼んで字の如く「早く」「生長する」「樹種」の総称。具体的にはコウヨウザンなどスギやヒノキに比べて成長量が大きな樹種への転換を図る。早生樹に切り替えることで、伐期を50年から30年まで短縮できるという。10〜20年生で除伐を実施したら、あとは切捨間伐や利用間伐を挟まずに、一気に主伐へと持っていくイメージだ。
②コンテナ大苗による一体作業
コンテナ大苗とは、育苗用の培⼟を⼊れた専⽤の容器で⽣産された⼟付きの⼤苗のこと。最大の特徴は、
すると何が変わるのか。搬出時に使った車両系機械を、造林にも使えるようになるのだ。集材作業を終えたグラップルは地拵えに使えるし、フォワーダは苗木の運搬に使える。こうした一体作業化=機械化によって、造林作業の省力化を図る。またコンテナ大苗を使うことで、下刈りの回数も減らせる見込みだ。
③植林の疎植
3,000本/haが一般的とされてきた植栽本数を、1,500本/haまで絞り込む。これによって、これまで間伐にかかってきた経費の削減を狙う。
以上の3つのポイントを中心に、長野県(根羽村森林組合)、広島県(三次地方森林組合)、宮崎県(都城森林組合)のモデル施業地で実証実験を行う。実際にどのまで程度コストが削減されるのか、その結果を見守りたい。
DATA
JForest全国森林組合連合会 組織部
TEL:03-3294-9719
農林中央金庫 総務部 広報企画班
TEL:03-5222-2017
文:松田敦