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【森林計測手法③地上レーザー】立木一本ずつ、曲がりを含めた根元から梢まで直接計測!

スマート林業の進展を加速させる鍵となるのが、森林資源のリモートセンシング調査。近年、革新的な計測ツールが次々と登場し、その技術は日々進化を続けている。そのなかでも、「地上レーザー」の特徴を詳しく解説。

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単木を直接計測
曲がりも把握!

専用のポールやバックパックに取り付けたレーザースキャナやGNSS受信機で、樹高や胸高直径、位置情報などを単木単位で計測する地上レーザー型計測ツールも相次ぎ登場している。

ライセンス不要で初心者でも手軽に扱えるのが特徴。立木一本ずつに地上から直接レーザーを当てて計測するため、胸高直径に加え、曲がりを含めた根元から梢までを直接計測できる。

機種によっては1ヘクタールの林地の計測をたった1人でも100分程度で行え、大幅な省力化を実現。これにより従来の標準地調査では不可能だった施業エリア全体の立木を単木単位で計測・管理することが可能になった

計測データを専用ソフトで解析して材積などの森林情報を数値化、可視化する仕組みはドローンなどによる計測と同じ。しかし、立木を地上から直接計測するため、高精度の解析結果を得られるのは大きなメリットと言っていい。

一方、地上からレーザーを飛ばす特性上、下層植生が茂っていると計測に影響が出る可能性がある。また計測には林地を実際に歩く必要があるため、神社仏閣などの保存対象木や銘木産地など、ある程度の調査時間をかけられる森林にも適していると言えそうだ。ウェアラブル端末を着用して林内に入り、実際の立木と照らし合わせながら計測データを確認できる製品も登場するなど、今後も新たな活用が広がりそうだ。
 



 
たとえばこんなサービス
OWL(アドイン研究所)

レーザースキャナにより空間情報を3次元データとして取得。得られたデータは専用ソフトOWLManagerでほぼ自動的に解析・変換・集計でき、森林内部の詳細な情報を確実にデータ化できる。2024年夏にはスキャン時間が従来の45秒から22.5秒に半減&より高く・広範囲まで計測可能になるなど改良が加わった「OWL200型」が発売された


文:渕上健太
イラスト:岡本倫幸

FOREST JOURNAL vol.22(2024年冬号)より転載

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