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【森林計測手法①航空レーザー】広範囲の計測で力を発揮! 傾斜や凸凹な地表データの計測にも最適

スマート林業の広がりを大きく後押ししている森林資源のリモートセンシング調査。新たな計測ツールが相次いで登場する。今回は、「航空レーザー」の特徴をリポートする。

広範囲計測で力を発揮。
計測精度も向上!

森林リモートセンシング調査において最も長い歴史を持つのが航空レーザーの活用である。
地上1000メートル程度の高度を飛行するセスナ機からレーザーパルスを地表に照射し、戻るまでの時間を解析して森林や地形の状況などを計測する。自治体や大規模な社有林を持つ企業などから委託された航空測量会社が行うケースが一般的で、広域での森林資源量把握、傾斜や凹凸といった地表データの計測に向いている

近年は、1平方メートルあたりのレーザー照射数が8~12点程度と従来の2~3倍に増加。これにより計測精度が高まり、デジタル空中写真やAI解析技術と組み合わせることで林相や立木本数、樹高、胸高直径といったさまざまな情報を得られるようになった

都道府県がこれまで実施した航空レーザーによる森林計測事業では、地形情報を含めて膨大な森林データが保有されている。
ただ「林業事業体などへ計測データを開示していない自治体も多く、開示している場合も開示方法が全国で統一されていない。計測データ自体もビッグデータなので、どのような形で現場に提供し、活用していくかを官民協働で協議会をつくるなどして考える必要がある」との声も林業経営者などから出ている。

また「予算上の問題などで令和に入ってから再調査を行っていない自治体もある」(大手測量会社)など、森林の継続管理に向けた定期的なデータ更新も今後の課題だ。

例えばこんなサービス
森林資源調査(朝日航洋)

朝日航洋では、安全と高品質にこだわって開発した航空レーザ測量システム(ALMAPS)での測量成果を活用した森林資源調査の支援サービスを提供。
樹高、樹木本数、樹種等から材積を推定できるほか、針葉樹人工林について過密林候補地の範囲・面積を算出し要間伐候補林の抽出を行うことができる。これにより従来現地で行っていた標準地調査などのサンプリング調査を大幅に効率化することが可能だ。


文:渕上健太
イラスト:岡本倫幸

FOREST JOURNAL vol.22(2024年冬号)より転載

 

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