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導入指導レポート! コンラート社架線集材用クローラ型タワーヤーダ、森林組合が初導入

タワーヤーダなど高性能林業機械、現場にとって省力化や安全などのために是非とも導入したいものだろう。しかし「はじめての操作」には心配がつきまとう。そこで操作をレクチャーする「導入指導」が行われるという。

海外製の高性能林業機械、
新規導入の事業体が続々と

自走式の強みを生かし活躍の場を広げているオーストリア・コンラート社製のタワーヤーダ『KMR4000U』。今春、森林組合として全国で初導入した飛騨市森林組合では特産の広葉樹材の搬出強化につなげているそうだ。

KMR4000Uの国内導入実績は飛騨市森林組合を含めて4月末時点で全国4台。コンラート社の輸入総代理店サナース(横浜市)によると、来春までに全国で10台程度の納車が決まっているという。作業道作設など、車両系機械での集材が難しい現場が全国的に増えている現状も導入拡大の背景にありそうだ。

ただ、架線集材の経験が少ない事業体にとってハードルとなるのが、架設や撤去作業、全体の作業システム構築などの習得だ。
 

先行導入の事業体を招き、
現場目線での『導入指導』

そこで今回サナースでは、2013年にコンラート社製KMS12Uを導入し、2021年6月にKMR4000Uの国内初号機を導入した川井木材(高知県本山町)に協力を依頼。新たに導入する事業体向けの導入指導を実施している。

飛騨市森林組合の現場にも川井木材の川井博貴社長がアドバイザーとして訪れ、現場目線で細かな指導をした。

川井社長は現場作業者間での導入指導について、こう話す。

「300m前後のスパンなら1日で架設できる機動性が一番の売りの機械。安全性能も従来の集材機より各段に高まっている。ただ、主索に対する控え索の角度など、安全性に関わる部分が現場の条件ごとに変わるのも事実。現場目線で安全性を高め、機械の性能を引き出すことで導入した事業体はもちろんの事、木材産業全体の発展にも繋げたい」。

川井社長は今回の現場でも控え索の角度のほか、先山での主索やホールバックラインの安全性が高い設置方法などを指導した。

設置・集材・撤去がリモコン1台で操作が可能。その操作も現場での指導を通して教わることができる。

導入指導を開催するサナース営業部の副島龍太さんは実務者間での技術共有を重視する考えを話す。

「熟練者でなければ使いこなせない部分も多い。弊社だけではできない全体の指導については、コロナ禍が落ち着きお客様の要望があれば本国(オーストリア)でのトレーニング受講は勿論、国内の熟練した技術者にお願いしていきたいです」。

また、サナースではスペアパーツを保有する「木更津マシンパーク」を千葉県に構えるなどアフターサービスも欠かさず、海外製重機の導入にかかる不安を払拭する体制を整えている。
 

 

油圧式クローラ搭載!
悪路、狭所で威力発揮

KMR4000Uはオーストリアを代表する林業機械メーカーのコンラート社が日本向けに開発した新型機で、2021年6月の国内初上陸を果たした。
 
自走式クローラー型タワーヤーダー「KMR4000U」
タワー地上高は約11m/荷揚げ能力最大4t


最大荷揚げ能力は4tとパワフルながら、幅員2.2mのコンパクト設計で、悪路や狭所、急傾斜の作業道を自走できる点が大きな特徴だ。足回りには重機と同じ油圧式クローラを備えている。

岐阜県の飛騨市森林組合では、2015年にコンラート社製のトラック搭載式タワーヤーダを導入。従来の集材機と比べて架設や撤去作業をしやすいため重要な戦力となっている。ただ大型トラックをベース車両にしているため「路面が悪い現場では、搬入のための路盤改良に大きな費用が掛かるのが課題だった」(同組合)。

そこで着目したのが悪路に強い自走式のKMR4000Uだった。今春の納車後、同組合が最初に投入したのがミズナラやスギを主体とする急斜面で岩混じりの皆伐現場

現場への進入路。左奥に見えるのがタワーヤーダ『KMR4000U』、谷上をワイヤーが通り、リフトライナーにより山肌から木材が降ろされている。

画像右手の山肌にはミズメ、サクラ、ナラ、カエデ、クリの木が混在して自生しており、すでに伐採が終わった跡。

上空から見た現場。

同組合の新田克之事業管理課長は、急傾斜の作業道を自走させた印象について「傾斜が急でも道さえしっかりとしていれば通常の重機が通れる勾配なら問題なく走らせられる。路盤が軟弱な場所は丸太を敷き並べるなどの対策で対応できる。トラック搭載式のタワーヤーダでは架設が難しかった現場で活用を進めていきたい」と評価する。

作業路班が木材を組んででやぐらを造り、タワーヤーダを配置。

集材作業に加えて走行時も手元のリモコンで機械を操作する点については「リモコン操作と実際の機械の動きに多少タイムラグはあるが、慣れれば回送でセルフに載せるなど細かい動きが必要な場面でも問題なく操作できる」と感想を語った。
 

 

安全・効率的な集材で
「広葉樹のまちづくり」に貢献



飛騨市森林組合が拠点を置く飛騨市は、森林面積に占める広葉樹の割合が約7割と他地域と比べて高いのが特徴。「広葉樹のまちづくり」を旗印に掲げ、家具や内装材、クラフト向け利用などを官民挙げて進めている。同組合は川上から広葉樹の原木供給を支える存在だ。

一方、ウッドショックなどの影響で針葉樹の需要が高まり価格が全体的に上がる中、飛騨市森林組合によると「広葉樹は、造材作業をハーベスタだけで完結できずチェーンソーによる手造材が必要になるなど、搬出に手間が掛かる。広葉樹を伐る事業体が全体的に減っているのが現状」という。同組合の素材生産スタッフは11人。昨年度の素材生産量は幹材積が多い現場の施業などで、針葉樹と広葉樹を合わせて前年度比22%増の2万8000㎥を確保した。

今春からのKMR4000Uの導入で、従来のトラック搭載式と合わせて2台のタワーヤーダを所有することになった同組合。「作業に手間が掛かる広葉樹の搬出は事業体にとってはハンデとなる。それでも小径木を含めた広葉樹材の地元での積極利用に向け、今後も自分たちが伐っていく役割を担っている」と新田課長。

自走式のKMR4000Uの導入を契機に今後はタワーヤーダを扱う集材班を現行の1班から2班体制に増やし、針葉樹を含めたさらなる搬出強化につなげていきたい」と、地域の木材産業を川上から支えていく熱意を語った。

上段・右から、有限会社川井木材の川井博貴社長、株式会社サナースの小川さん、松野さん。
下段・右から、飛騨市森林組合の松井さん、新田課長、株式会社サナースの副島さん。

 

 

問い合わせ

株式会社サナース

取材協力:有限会社川井木材


写真/松尾夏樹 取材・文/渕上健太

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