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国産材を使いたくなる仕組みとは? 輸入材に左右されぬ、地域に応じたSCM構築を支援!

林業におけるサプライチェーンのいまを見ていこう。国が支援する各地域でのSCM普及活動について、農林水産省 林野庁 林政部 木材産業課 課長補佐(木材製品調査班担当)の高木望さんに聞いてみた。

輸入材の動向に左右されない
国産材を使いたくなる仕組みをつくる

令和2年の建材自給率等は47.2%でした。平成14年から上昇傾向にありますが、ウッドショックが象徴するように、国産材は輸入材に左右される体制になっています。

これに対してサプライチェーンにおいて、川上では生産性向上・集約化、川中では加工施設の整備=国産材による安定供給を進めています。川下が国産材を入手活用しやすい体制を作るのが狙いです。

それが全体としての方向性ですが、林業は地域性が強い産業です。地域により、生育している樹種、製材所の数、また木造住宅建設の多い少ないにも地域差があります。方針を画一的に適用できるわけではありません。

そこで林野庁では令和元年より、地域に応じたSCM構築を支援すべく、SCMフォーラム設置補助事業を開始しました。

北海道では広葉樹安定供給の仕組みを作っており、バイオマス向けに出荷していた材を板材等にして付加価値をつけた販売に取り組んでいます。静岡などでは川下・川中・川上が情報を共有して木材のマッチングを行うことにより、地域材の利用促進の実証を行おうとしています。



需給マッチングとしては、木材SCM支援システム『もりんく』を構築しており、自社のニーズに合った原木や、木材製品を取り扱っている事業者を探す、自社商品等の情報を発信し連携可能な事業者を探すことができるようになりました。仕組みとしてSCMは形になりつつあります。

『木材流通構造調査』によると、原木ルートは市場が4割、製材工場等への直送が4割、流通業者が2割。市場経由が多いことがわかります。単価の安い並材にもコストがかかる。このため、川上が自ら直送をコーディネートする取り組みが増えてきている一方で、中小規模の製材工場等にとっては、市場はなくてはならない存在ですから、直送と市場とを両立させたい。ここにも課題が残されています。

教えてくれた人

農林水産省 林野庁 林政部 木材産業課
課長補佐(木材製品調査班担当)
高木望さん

 

木材SCM(サプライチェーンマネジメント)とは……

川上・川中・川下のなかで木材価値の向上を図るために情報の共有を行う取り組みのこと。ICTを活用し、生産段階の森林資源や材積データを高度化・見える化し、流通段階へと情報共有を行うことで、木材生産と流通全体のコストを削減、効率化していくことができる。




文/川島礼二郎

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