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重機リースを低価格に! 新規参入支援や、現場の細かなニーズに応える独自ビジネス

高性能林業機械の導入は初期投資や現場に適した作業システムの構築など新規参入者にはハードルが高い。岡山県津山市の富士岡山運搬機は、レンタル費の低減につながる会員制サポートサービスの導入や中古林業機械売買のプラットフォーム化など、現場目線に立った独自の重機ビジネスを展開。素材生産への新規参入を目指す事業者を強力に後押ししている。

会員価格でレンタル
収益性向上へ貢献

高性能林業機械を約30年間にわたり販売し、国内外のメーカーや多くの林業事業者との取引を通じて高い技術力を培ってきた富士岡山運搬機。

近年、林業を成長産業と位置付け、素材生産への新規参入を目指す動きが地元の岡山県内でも出てくる中、「資金面の問題でスムーズに機械導入が進まないケースを目にするようになってきた」(同社)と林業界の課題を目にしてきた。林業機械のレンタルも手掛けているが、原木販売単価が依然として厳しい中、素材生産に新規参入する事業者などからは「通常設定のレンタル単価では採算が合わない」との声も聞かれるようになった。

そうした現状を受け、林業事業者の機械化推進のほか経営合理化支援などを目的に、同社が2013年に設立したのが「富士フォレストサポート」という会員制組織だ。

レンタル単価が高額になりがちなプロッセッサーやハーベスタなどの造材機について、会員向けの月ぎめ単価を通常の20~30%引きに設定。さらに通常は「10日以上のレンタルは月ぎめ単価と同額」としている料金設定を会員向けの場合は「20日以上のレンタルは月ぎめ単価と同額」に切り替えて、より安価に使ってもらえるようにした。年会費は3万円だ。

取締役営業部長の本田裕二さんは「より使いやすい形で使ってもらおうと林業事業体に特化した特別な価格設定をした」と狙いを話す。


富士岡山運搬機 取締役営業部長 本田裕二さん

会員の事業者は伐倒と集材を事前に終わらせて造材作業だけを数日間に集約。会員向け単価で造材機をレンタルすることで「作業効率と収益性が格段にアップする」と本田さん。

発足時に正会員25社、賛助会員6社だった会員数は、20年度は正会員69社、賛助会員7社に広がった。奈良県や兵庫県など中国地方以外の会員もいるほか、素材生産に参入する土木業者や木質バイオマス燃料の製造に携わる木質系の産業廃棄物処分業者など林業以外の異業種からの入会も増えているという。



林業アタッチメントに精通
重機カスタマイズにも対応

富士フォレストサポートによるサービスのもう一つの柱が“要望に応じた”高性能林業機械の販売とレンタルだ。

高い作業能力を発揮する海外製最新ハーベスタや、オペレータを保護するためのオリジナルの各種ガードのベースマシンへの取り付けといった事業体からのさまざまな要望に応じたセッティングや改造を手掛ける


アタッチメントの取り付け作業の様子

国内外を含めて何種類もあるベースマシンとアタッチメントが、それぞれポテンシャルを発揮できるように取り付けるには長年にわたる技術の蓄積が必要。

これまで同社が取り扱ってきた林業機械メーカーは10社以上あり、建機メーカーが「林業仕様」と銘打つ製品を発売する以前からアタッチメントの取り付けなどを手掛けてきた。「メーカーから一緒に商品開発をしてほしいという要望も寄せられています」(本田さん)と林業機械メーカーからも頼られる存在になっている。

中古品の使用を含めてさまざまなカスタマイズの相談に応じてもらえる点もユーザーにはうれしい対応だ。

会員同士が情報交換&連携
施業システムの提案も


富士フォレストサポートの講習会の様子

富士フォレストサポートでは重機メンテナンスやIT機器の活用などをテーマにした会員向けの講習会を年に2回開催。終了後の交流会は、林業以外の異業種を含めた会員同士の活発な情報交換の場となっている。

素材生産の現場では通常、複数の林業機械を組み合わせて使うが、実際の施業方法は事業者ごとにさまざま。新たに独立起業した新規参入者にとって、富士フォレストサポートの「先輩会員」との交流は施業システムや林業経営を考える上で大きなプラスになっているという。

「一社ではできない仕事を会員同士が協力して手掛けるケースも生まれている。入会が独立起業の登竜門になっているとも言える」と本田さんは富士フォレストサポートの役割を語る。


富士フォレストサポートの講習会の様子

富士岡山運搬機では、林業機械を販売したり、レンタルしたりする際、希望する機械や施業する山の概況などを顧客から聞いた上で、施業システムや使用する林業機械をアドバイスしている。例えば「複雑な機能は付かなくても、その分壊れにくい機械」「交通が不便な地域なので修理をしやすい機械」など、事業者の施業環境に応じた機械選択を提案する。

さまざまな会員事業者との関わりは、同社にとっても素材生産の現場の流れを実践的に学ぶ場となっている。



ニーズ高まる中古林業機械
需給のマッチングにも挑戦

高性能林業機械の上手な活用は、素材生産の効率化に向けた鍵を握る一方、新車導入には高額の初期投資が必要になる。

一方、林業機械は建設機械と比べると中古車市場が確立していない側面があるという。

同社は委託販売を含めた林業機械やアタッチメントの中古販売にも注力。同社ホームページをプラットフォームと位置付け、写真や仕様、状態を詳しく載せて、「買いたい」と「売りたい」の相互のニーズのマッチングを図っている。


富士岡山運搬機の公式ホームページ

独立するひとはまずは中古機械から始めるケースが多い。中古機械の購入に補助金を出している県もある」(同社)とニーズを挙げる。

2020年の中古林業機械の販売台数は79台。鳥取県内の自伐型林業の先進地で施業を学んだ他地域の林業者が、グラップルやウインチ付きの小型林業機械を同社で購入して地元に帰っていくケースもあるという。小型のベースマシンからアタッチメントまで、中古を含めて幅広い組み合わせから選べる同社は、2人程度で独立する小規模事業者にとっても心強い存在だ。

同社では最新の整備技術の習得や若手スタッフへの技術継承にも力を入れている。建車グループサービスリーダーの谷本将利さんは「逆に若い子から教えられることもあります」と笑顔をみせる。


写真左から、富士岡山運搬機 取締役営業部長 本田裕二さんと、建車グループサービスリーダーの谷本将利さん

重機オペレーター育成への協力や、年間の稼働状況に応じた変則支払いの導入といった独自のファイナンス支援も手掛ける同社
「強みであるメンテナンスを生かした『使える中古林業機械』の販売や買い取りのプラットフォーム化を進め、林業界の発展に貢献したい」と本田さんは今後のビジョンを示す。新規参入を含めた全国の素材生産者のニーズにこれからもきめ細かく応えていく考えだ。

DATA

富士岡山運搬機株式会社
TEL:0868-24-321

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