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SDGs×林業の関わりとは? 森林・林業白書から改めて整理する〈前編〉

令和元年度の林業白書のなかから、特集「持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業」の内容をご紹介。前編ではまず、グローバルな視点からSDGsと森林の結びつきを整理する。

SDGsという観点から、
世界の森林を見直そう。

そもそも、なぜSDGs(持続可能な開発目標)を理解することが重要なのだろうか。結論から述べると、「SDGsに則って森林の役割を整理することで、森林と社会的諸課題の関係が、具体的な目標として改めて明らか」になるからだ。林業白書の記述をもとに、どのような課題と目標が見えてくるのか整理してみよう。
 

 
まず森林が最も直接的に関わるSDGsは「持続可能な森林の経営」を掲げる目標15だ。さらに「持続可能な森林の経営」の実現は「土壌を保全し(目標15)、水を育み(目標6)、炭素を貯蔵する(目標13)」ためにも欠かせない。また森林から調達する薪炭材を重要なエネルギー源とする低所得国では、森林の保全と持続性の確保は「持続的なエネルギーのアクセスを実現することにもつながる(目標7)。」
 
ところが実際には世界の森林は、減少・劣化を続けている。それは開発途上国をはじめとした地域で、森林に生計を依存しながら暮らす人々にとっては死活問題だ。「森林の喪失は貧困(目標1)や飢餓(目標2)に直結」する。
 
「様々な国で地域住民が森林資源を利用する権利が保証されていないなど公平性の観点で課題があり(目標10)」、これが貧困問題に拍車をかけている。ほかにも森林の開発をめぐる意思決定に女性が参加できていないことから「ジェンダーの観点からも課題が生じている(目標5)」ことも指摘されている。



これらは決して開発途上国だけの課題ではない。日本を含む先進国に、木材やパーム油、大豆、肉牛などの農産物を輸入するために、森林資源が減少していることも指摘されている。「『持続可能な生産消費形態』(目標12)の実現に当たっては」、各国がいかに海外の森林の持続可能性も考慮に入れられるかが課題となる。
 
こうした課題を解決するために、2017年に国連総会は「国連森林戦略計画2017-2030」を採択。2030年までに達成すべき世界森林目標を提示した。現段階ではこれが「森林・林業・木材産業」に携わる人間が、世界の森林の課題を解決していくために意識すべき、最大公約数的な目標と言えるだろう。
 
とはいえ、まだまだスケールが大きく、「具体的な目標」として実感できない方も多いはずだ。そこで後編では、日本国内の林業・木材産業の営みがSDGsの実現にどのように貢献できるのかを、引き続き林業白書に基づいて整理していきたい。


文:松田敦

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