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花粉症対策に1億3500万円! 花粉症発生源対策推進事業とは?

今や日本国民の3割が罹患していると言われるスギ花粉症。林野庁は、令和2年度の予算概算要求の中に花粉症発生源対策推進事業の要求額として1億3500万円を盛り込んだ。抜本的な花粉症対策が急かされる中、国としてどのような対策を行うのか。

林野庁が打ち出す
花粉症対策「3本の斧」

春季の花粉症対策に林野庁は本腰を入れて取り組んでいる。対策は長期スパンで行われ、花粉の出にくいスギの苗木を令和14年度までに年間生産量7割まで増加させるとしている。林野庁の掲げる対策である「3本の斧」とはなにか、まとめてみると林野庁の本気の度合いが伺える。

1.伐って利用する

花粉を大量発生させるスギ人工林の伐採を進め、その材木を商業施設や公共建築物の木造化資源として活用する。20年から30年前に植えられた人工林を整備し直すことで発生源を絶つとしている。

2.スギの人工林を植え替える

実証実験中の花粉の少ないスギの苗木の生産増大に注力。スギ人工林跡地への利用を促進する。また条件不利地には伐採後広葉樹への変換を進める。花粉の少ない苗木の生産は始まっているが植樹までにまだ時間がかかる。その間、広葉樹などで整備も進めるとしている。

3.先進技術でスギ花粉を出させない

スギ花粉の発生を抑える技術の実用化で発生を抑えて飛散させない。苗木の育成は時間がかかるが飛散防止材の開発が進んでいる。技術的には実証段階だが、森の生態系に影響を与えないかなどの実験がなされている。技術革新による対策も同時に進んでいる。

「利用して」「植え替えて」「出させない」を柱に、スギ花粉対策が行われている。

林野庁が要求した2020年度の
予算とその内訳

令和2年度の予算要求として林野庁は、花粉症発生源対策推進事業に1億3500万円の予算請求を提出した。来年度予算請求の中で特に額の大きい予算案は、花粉症対策苗木への転換促進だ。平成29年度に全体の4割程度だった生産量を、令和14年度までに全体の7割まで引き上げることを目標にしており、転換推進の中には、加工業者が行う森林所有者への植え替えの働きかけ支援や、花粉症対策品種の生産支援も含まれる。

予算額の振り分けは国、県、市町村から委託される民間事業者への事業、取り組みの支援に活用され、他にも花粉飛散防止剤の空中散布の基本技術の確立や、花粉を飛散させる雄花の着花状況の観測精度向上のための調査にも使われる予定だ。

島根県で進む無花粉
スギの開発の現状とは

林野庁が花粉症対策に乗り出す傍ら、無花粉スギの開発も進む。このスギは自然界でも発生することが確認されているが、2500~6000本に一本しか現れないという。

鳥取県では、無花粉スギの木材としての質が良くないという弱点を克服するため、無花粉スギの遺伝子を持つ石川県のスギ花粉と、雪に強く成長の早い県内の優良スギの花粉と人工交配させた。交配させたスギはすべて失敗に終わったものの、孫の世代のスギ1万5千本のうち85本に花粉遺伝子が含まれないことが確認され、昨年3月には無花粉と優良スギの遺伝子を併せ持ったスギの開発に成功した。

鳥取県はこの無花粉スギの苗木を生産者に配り、5年後には年間3千本生産する体制を目指しているが、この無花粉スギの生産にも時間がかかる。交配から完成まで最短で4年の時間がかかり、鳥取県全体へ行き渡るにはまだまだ時間が必要のようだ。


TEXT:岩田武

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