林業の成長に欠かせない! 知っておきたい「経営マネジメント」の考え方
2019/12/11
「林業事業体に経営マネジメントの考え方が入れば、林業は成長の余地は大きい!」そう語るのは、FOREST MEDIA WORKS Inc.のCEO楢崎達也氏。各地で林業事業体の経営支援を行ってきた同氏による、林業が抱える課題を読み解く連載コラム。
今抱える課題は
「経営マネジメント」
過去約5年間に渡り、経営改善等を通じて多くの林業事業体さんと苦楽を共にしてきました。
それらを通じて、感じているのは林業事業体が抱える課題のほとんどは、林業の課題ではなく、「経営の課題」だという事です。
① エキスパートが育っていない
② 大規模組織になっていることを理解してない
③ 組織経営を担える人が育っていない
・後任が育っていない
・経営に携わる人材不足
・現作業員が辞める
・中核の人材が辞める
・精神的に病む人が増えている
④ コンプライアンスリスクが増加している
・労働基準法の遵守
・パワハラ・セクハラ問題 等
林業・木材業界にしか存在しないような特有の課題、古い慣習が故の課題ももちろんありますが、それ以上に、組織規模が拡大した結果として、「経営マネジメント」が現代の林業業界の主たる課題であると言っても過言ではありません。つまりは、一般企業と同じ状況です。
業務の効率化、IT化、サプライチェーンマネジメント、人材の育成等の課題は、「林業成長産業化」をキーワードに近年、特に注目されてきていますが、これらのキーワードの課題解決に必要な知識・情報は、林業の知識ではなく「経営の知識・スキル」になります。
林業事業体は資源が存在する地方に所在しており、一定地域内だけで特有の慣習環境下でビジネスが行われてきました。また、林業経営を支援する立場の都道府県の林業専門職員も企業経営の知識は専門外でした。
これらにより、林業事業体が組織的発展のための知識を得にくかったと言えます。林業事業体は、少し時代遅れになってしまいました。
令和の時代を迎え、住宅着工数の将来の伸び等の不透明なビジネス環境はありますが、バイオマス発電、国産材の海外輸出、ICT技術の進展、「次世代森林産業展2019」等のビジネスマッチング等、日に日に林業・木材業界は開かれていていると感じます。
言い換えると、林業業界はこれからまだまだ成長の余地を十分に残していると言えます(「伸びしろありますね!」by本田圭祐選手)。
画像:林業事業体の成長のイメージ
課題は、林業・木材産業が、より具体的に言うと、産業を構成している事業体・企業が着実に成長していけるのかどうかにかかっていると言えます。
「成長していけるのか」ということは、林業業界で働くことで皆さんが「幸せになっていけるのかどうか」ということにほかなりません。
是非、林業業界で働く皆さんには経営マネジメントを学ぶ機会を持ってもらいたいと思います。
PROFILE
FOREST MEDIA WORKS株式会社
CEO 楢崎達也
カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2019プロデューサー。
FOREST JOURNAL vol.1(2019年秋号)より転載