緩衝材や断熱材にも使える! 再生可能で自然に優しいバイオマス発泡材の魅力とは?
2021/07/05
森林火災モニタリングからバイオ素材開発までAI技術が光る林業のいま。各国の次世代林業トピックから新しい林業の可能性が見えてくる? 今回はフィンランドの事例を紹介する。
緩衝材や断熱材に活用できる
丈夫で軽いバイオ由来の素材
北欧フィンランド・アールト大学の研究チームは木材由来の発泡材を開発した。人工知能(AI)を用いて最適な原料の組み合わせや工程を特定。木部繊維、高等植物の木化に関与する高分子のフェノール性化合物「リグニン」、天然の無機鉱物源からなる合成層状シリケート「ラポナイト」を混合すると、丈夫で、断熱性があり、軽量な発泡材が生成できることを突き止めた。
この発泡材は、木材の特徴を備えており、既存の発泡スチロールやエアパッキンを代替する再生可能な生分解性緩衝材として活用できるほか、耐湿性と耐火性を備えることで、建物用断熱材としても利用できる。今後は、政府機関「ビジネスフィンランド」の助成を受け、この新素材の実用化をすすめていく方針だ。
文:松岡由希子
FOREST JOURNAL vol.8(2021年夏号)より転載