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林業者の取り組み

開催の結果、予想以上の反響が!? 狩猟マッチング「カリツナギ」参加者の声【後編】

再造林の課題・獣害に、若き林業家が「猟師と、山主や農家のマッチングサービス」で挑む! ついに奈良県宇陀市で開始したサービスには、なんと予想以上の反響が。森庄銘木産業の森本さんに今後の「夢」を聞いた。

 

 

森庄銘木産業の森本さんは、ゲーム関連会社「3rdKind」CEOで事業開発の経験を持つ細谷太郎氏とタッグを組み、森林づくりの課題を林業に携わる人と異業種の起業家で解決する林野庁の助成事業「サステナブル・フォレスト・アクション(SFA)」へエントリー。

獣害に困る林業家と地域外・新米の猟師をマッチングするサービスの新事業計画を練り上げ、見事入選し、その実証実験としてカリツナギがスタートした。

 

結果は、予想以上の反響!
狩猟の場のニーズの高さを実感

受賞後、森本さんは「わな猟」の免許を取得し、今年1月に第1回目のカリツナギを開催した。


ワナにかかった鹿はその日に解体して試食。捕獲できるかどうかは運しだいのため、事前に試食の準備をしておく。

森本さんはこう話す。「狩猟イベントは色々な制度をクリアしなければいけないので、民間企業だけでは難しい。自治体の力を借りて運営しています」。

スタッフは、狩猟免許を持つ宇陀市地域おこし協力隊2人と、地元の熟練ハンターの中村氏、森本さんの総勢4名。今年5月までに月1回のペースで4回開催し、予想以上の反響があった。

「WEBで募集をしていて、定員10名の枠が3日で埋まってしまいます。参加者は20〜40代、3割ほどが女性。県内ほか、京都、大阪、兵庫からも来てくれます」。


イベントは10人程度の少人数制。熟練猟師の中村さんは会社の従業員のお父さんで兼業農家の仕事の合間に手伝ってくれる。「自然と対峙するハンターと林業家は、分かり合える部分が多い」と森本さん。

これは、都会の人を森に集客する大変さを知る森本さんにとっては驚きで、狩猟の場のニーズの高さを実感した。これまでに参加者からは“狩猟の場がなくて困っていたのでありがたかった”“企業研修や従業員の家族の福利厚生としても活用できる”などの感想が寄せられている。

今年4月には、カリツナギの新聞記事を見た奈良市の高校生がゼミの活動として参加(詳しい活動レポートは下へ!)。森林再生の想いから始まったカリツナギは、森本さんの想像以上に、様々な人たちをつないでくれる。



今後の展望は、北海道の一部の地域で始まっている“猟区”を地元に作ること。

「父は長年、宇陀市からの依頼で『境界明確化事業』に携わっているのですが、どうやっても採算がとれない森林が必ずあります。そこを狩猟ができる場所として有料で一般開放し、収益を山の維持や再生に使うというものです。

コスト面や人員の足りなさなどの課題があり、まだまだ“夢レベル”ですが、いつか実現させたいですね」。

 

カリツナギ参加者の声!

奈良県立国際高等学校
「グローバル探究」活動で
カリツナギに参加

奈良県立国際高等学校の松本真紀先生は次のように語った。

「『いのちの輝きを未来に伝える』というゼミで、獣害として駆除される野生動物との共存をテーマに活動する高校生が参加しました。今回、初めて『止めさし』の瞬間に立ち合い、教室で学ぶだけでは分からなかった現場の空気に触れ、自分の感情とも向き合うことができました

活動後は自分たちでできることをと、生駒市の市民農園の防護柵設置の手伝いや野生動物と人との距離を保つための巡回活動を行っています。また社会や環境問題に正面から向き合う大人との出会いは、生徒たちが卒業した後の生き方を考える時の良いお手本にもなるとも思いました」。

どんな体験があるの?

 
『カリツナギ』スケジュール
 
<1日目>
9:45  森庄銘木産業へ集合・受付
9:50  事前説明・移動
10:00  狩猟(罠)体験 ※アニマルトラッキング・罠設置箇所の選定
12:00  移動・解散
 
<2日目>
8:30  集合・受付
8:45  事前説明
9:00  移動
9:15  狩猟(罠)体験 ※アニマルトラッキング・罠チェック・止めさし・罠設置
11:15  解体
12:30  鹿料理・試食
13:30  片付け・イベントのアンケート調査
14:00  解散
 
2022年2月19・20日開催
(1日参加5000円/通し参加7500円)

 

PROFILE

森庄銘木産業 株式会社 取締役専務

森本達郎さん

1993年生まれ、奈良県出身。立命館大学卒業後、3年間大手木材商社で営業を経験した後に帰郷、2019年取締役専務に就任。仕事のテーマは「森と暮らしをつなぐ」。2021年には、 床・壁・内外装材の「ヒノキ曲がり梁(はり)」とイベント・ワークショップ「『自分ちの森』を知る第一歩 若手林業家と巡る森林ツアー」でウッドデザイン賞を受賞。

DATA

森庄銘木産業株式会社
奈良県宇陀市菟田野古市場511-2


取材・文:後藤あや子
写真:村岡栄治



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