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最新ロープワークを駆使! 次世代に継がれる高難度の高所伐採。今後は業界の裾野拡大へ

アーバンフォレストリーの特殊伐採は、ツリークライミングの技術を駆使するスタイル。社長の吉見さんは、約18年に及ぶロープを使った高所伐採のキャリアの持ち主で、国内の草分け的存在だ。

 

高所でも安全・確実に伐採
「都市型森林管理」を3人で

ロープワークを駆使し、重機が入れない現場で高難度の高所伐採を手掛けるアーバンフォレストリー。技術講習会も毎年開催し、最新技術と樹木管理の概念を全国の受講者に伝えている。

社長の吉見次郎さんは、地元の森林組合に20年ほど勤めた後に同社を設立。ロープを使う高所伐採のキャリアは約18年に及ぶ国内の草分け的存在だ。



吉見さんは流れるような動きで樹上を移動し、隣接する木々もクライミングロープやリギング用のブロックの支点に活用するシステムを手際よく構築。地上でロープ操作をするスタッフも吉見さんの動きを読みながら、ポータラップやウインチの位置を調整する。

樹上での不安定な体勢を感じさせない正確なチェーンソーワークで吉見さんが受け口と追い口を入れると、重さ数百kgの太枝が切り離され、2本のロープで確保されながらゆっくりと地面に降りていく。


樹上で作業をする吉見さんと息を合わせてウインチやロープのセット、回収といった地上での作業を手際よく進めるグラウンドワーカーの若手スタッフたち。吉見さんの技術や知識は確実に継承されている。

同社では今は世代交代の時期。2人のスタッフはともに20代で、吉見さんは次のように話す。「一番の思いは人材育成。こういう仕事ができることで、根元から伐らなくても残せる木が増え、木を残す提案ができます」。

アーバンフォレストリーの皆さん。

社名は「都市型森林管理」の意味を持つ。伐るだけでなく、景観や生態系の維持向上を含めて樹木管理のプランニングをするのも同社の仕事だ。スタッフに樹木医資格の取得を義務付けているのもその現れといえる。

重機を所有せず、伐採した丸太の搬出を地元の林業会社に委託している点も特徴。「あれば便利なものはなくてもいい。地域内での仕事のシェアにもつながります」。

クライミングやリギングなどの講習会には毎年300人ほどが参加、受講者が独立開業するケースも多い。「技術は普及することでさらに発展し、全国の現場で対応できるようになる。技術や知識はすべてオープンにしていきたい」と吉見さん。業界の裾野を広げるのが目標だ。

アーバンフォレストリー「特殊伐採」での強み
● 重機が入れない現場でも高度な最新技術で安全確実に伐採
● 生態系や景観の維持向上に「都市型森林管理」を提案
● 講習会で専門技術を積極的に普及

 

問い合わせ

株式会社アーバンフォレストリー
長野県駒ケ根市中沢4372-1
TEL:0265-96-7596




文:渕上健太
写真:松尾夏樹

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