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林業者の取り組み

満足度が高い仕事場づくりとは? 月給制・週休2日制を採用&キャリア形成の仕組みづくりへ

民間林業事業体である、栃木県の栃毛木材工業では、山林部門の高い生産能力の維持、組織の持続と発展をするために、社員満足度の高い経営を目指している。生産性を上げながらも、働き手の満足度が高い仕事場づくりとはどうやって行うのか。

POINT01

林業現場に「月給制・週休2日制」導入!
そして適切な生産ノルマ設定

栃毛木材工業では『月給制・週休2日制』を採用。林業現場での雇用形態としては、非常に珍しい仕組みだが、関口弘社長は「月給制・週休2日制にこだわったわけではないが、今の社会に照らせば当たり前だ」という。現在の社会システムが月給制・週休2日制がほとんどの中、林業だけがそのシステムに準拠していないとなると、まず職業として林業を選択してもらえなくなる

「当社は良い人材を求めているし、その人に頑張ってもらいたい。そのための組織体制を整えるのは当然」と話す。雇用条件の整備は、生産ノルマと直結していて、良い給料・待遇を受けるためにはそれに見合う生産量(売上)がセットであり、それを会社と社員全員で話し合って決めている。


雇用条件と生産ノルマの良いバランス=個人と会社の成長に繋がる



POINT02

事故・怪我を減らし、
効率アップのための社内教育システム

採用時に個人の適性を判断し、林業現場への適性があると判断した者のみを採用。新人に対しては職場を挙げて新人研修を実施する。社員自らで新人を教育し、同時に先輩社員も人材を大切に育成するスキルを学ぶ。

1.新卒者特別研修:1週間の座学、1ヶ月の現場研修で川上~川中まで大まかに業務の流れを学ぶ

2.安全教育専門班による実務研修:安全教育担当班長のもと、作業の基礎を学ぶ

3.作業班への配属:最低限の安全管理・基礎作業スキルを取得後、作業班に配属となる



POINT03

組織と個人の成長のために
利益を必ず出す

組織と個人の成長のためには、継続的な投資(安全装備、機械、スキル)が必要であると考える関口社長。投資のための継続的な利益創出には、社員による正確で深い理解と利益が出る目標設定が必要であり、社員全員の責務としている。

日々、電話とLINEを用いて密な情報共有を行い、週1回の経営戦略会議を実施。発生している課題が各担当より経営側へ伝わり、その場で改善を図ることができるよう、経営者と社員が一体となる動きを実践している。

経営戦略会議の内容

●現場の運営状況
●現場の準備状況
●補助金の進捗 
●山林の仕入れ状況
●チップ、原木の仕入れ状況
●収益に関する現状

<参加者>各担当者、社長、専務、部長



栃毛木材工業の職場のつくり方
●他産業に引けをとらない雇用環境づくり
●社員満足度が高まるキャリア形成の仕組みづくり
●安全管理と生産管理ができる組織体制・リーダー育成

教えてくれた人

株式会社栃毛木材工業 代表

関口弘さん

DATA

株式会社栃毛木材工業
栃木県鹿沼市に所在、山林部、製材部、建築部を有する総合木材企業。山林部は、従業員22名で1500ha(業務委託山林400haを含む)を管理し、 年間出材量 約30,000㎥の生産業務を行っている。人工林の天然更新の方法など、新たな林業体系の創出にも力を入れる。

筆者PROFILE

FOREST MEDIA WORKS Inc. CEO

楢崎達也

カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2019プロデューサー。


FOREST JOURNAL vol.8(2021年夏号)より転載

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