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林業者の取り組み

岡山県で急成長中の林業会社・杉産業が「スマート林業」を実践する理由

日本屈指のヒノキ生産量を誇る岡山県。その北西部の新見市にある杉産業では、林業活性化の起爆剤としてスマート化を積極的に推進し、生産性が飛躍的に高まっているという。ここでは、杉産業がチャレンジしているスマート林業の取り組みを紹介しよう。

木の最大価格を自動算出する
画期的システムで効率化

総面積の86%を森林が占める新見市にある杉産業は、うち85%の民有林の管理委託を受任するなど地域屈指の林業会社だ。この数年で、社員が3人から10名超に増えるなど、斜陽産業と言われて久しい林業でも成長が著しい。

キーマンは、2代目社長である杉光太郎さん。東京で、自動車メーカーの研究開発部門でエンジニアを務めていた杉さんは、「寂れていく地元に雇用を生んで、地域を活性化させたい」と、約9年前にUターン。林業先進国のフィンランドなどから、高度に知能化された重機や生産管理のソフトウェアを導入し、生産性を向上。ITや最先端の機械を駆使したスマート林業に積極的に取り組んでいる。


「社員にはIターン者も少なくない。彼らのためにも、林業をビジネスとして成り立たせることが責務」と話す杉光太郎さん。

代表的なのが、昨年導入したフィンランド生まれの「Waratahハーベスター」と搭載ソフトウェア「iLoggerバリューバッキング」だ。その使い勝手について「従来の機械とは、ガラケーとスマホくらいの差がある」と杉さんは話す。

「1本の丸太は、その切り方によって、トータルの値段が変わってきます。つまり、木の値段を最大化するためには、林業家の経験と勘が重要でした。『iLoggerバリューバッキング』なら木材市場での取引価格をあらかじめ入力しておくと、木をつかんだ瞬間に1本あたりの木が最大価格になるような最適な切り方を、自動算出してくれます。カッティングボタンを押せば、そのまま自動採材してくれる。使い手の経験に関係なく、木を価値化することができるので、若手起用にも効果的です」。


ものすごいスピードで、次々にカッティングしていく「Waratahハーベスター」。加工精度も高い。


木材市場の価格データや製材所からの注文材などをシステムに入力。ハーベスターで木をつかむと、自動計算してくれる。

また、カラーマーキング機能を利用すれば、カッティング時、仕様ごとに指定したインクを丸太に噴射。本来は手作業で行うはずの丸太の仕分けが自動化され、効率化に一役買っているという。


指定したインクを木の切り口に噴射。


パワフルなフィード、正確な測定など優れたパフォーマンスを発揮するハーベスターヘッド。

「木の価値を高めるには、市場を介さない、製材所との直接取り引きも重要な戦略だと考え、昨年の秋から取引をしています。そこでは、製材所ごとの細かいニーズに答えることが大切。カラーマーキング機能があれば、A製材所、B製材所、C製材所と、細かい仕様を設定して、行き先を荒分けすることができます。スマート化によって生産性が上がれば、山林所有者さんや社員へも還元することができる。林業、そして地域の活性化を目指して、様々なチャレンジをしていきたいですね」。

DATA

杉産業
岡山県新見市井倉550-1
TEL:0867-75-2250


FOREST JOURNAL vol.1(2019年秋号)より転載

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