日報で把握した生産性実績は何と比較するのか? 林業現場で成果につながる評価の考え方
2026/08/18
林業の生産性は他社との比較だけでは評価できない。先進事例視察やベンチマークの課題を踏まえながら、日報で把握した実績を「計画値」と比較する重要性や、生産性向上につながる考え方を解説する。経営支援のプロ・楢崎達也の連載コラム「次世代林業Lab」。
先進地視察の感想が
「うちの会社とちがうから参考にならん」
になってない?
林業業界の皆さんなら他事業体の「先進事例」視察、当然、好きですよね。しかも、視察後の感想として、「あそこの会社のやり方は、うちの会社のやり方とちがうので参考にならん」という感想も好きですよね〜(笑)。
僕がオーストリアに1人で視察に行った際に、視察先から「1人ならノルウェー視察団に混じってください」と言われ、彼らの観光バスに乗せられた。ノルウェーおじ数人はオーストリア焼酎飲みすぎて二日酔い。状況は万国共通で嬉しかった(笑)。
林業業界では、ある時期から自分の林業事業体と他の事業体(モデル的)を比較して、生産性の良し悪しを議論して励みにすることが定着しています。確かに、「ベンチマーク法」はライバル会社に勝つための手法として他産業ではスタンダード。
でも今の林業業界のベンチマークのやり方って、本当に意味があるのか。そういうところを考えたことがありますか?
そもそも、
【あんま良くない①】
生産性の計算は「年間生産量÷年間投入人日数」という、現場の難易度、木の太さ等が全く考慮されていない雑い計算。
【あんま良くない②】
生産性の計算理論・式は統一されておらず事業体によってまちまち。
【あんま良くない③】
作業班が複数ある場合でも班ごとの能力は評価されず、できる班・できない班がごちゃ混ぜ。
てなことで、他の会社の生産性を参考にしても、実はほとんど意味がありませんね。お気づきでしたか? 「じゃあ、楢崎、お前は、なにか、生産性なんて必要ないと言ってんのか? 行政は生産性向上に一生懸命なんだぞ?」と言われそうですが。
それは違います。僕は生産性を高めてもらい、会社を成長させ、従業員の給料アップ、従業員増をしてもらいたいと、思っています。
それならば、生産性についてどのように考えたら良いのでしょうか? 自分たちの生産性を何と比較したら良いのでしょうか?やっぱ、他人と比較してマウントを取りたい(笑)僕らとしては、比較・評価対象物が欲しいですよね〜。何と比較したらいいと思いますか?

それは、作業前に「自分で」立てた「計画値」との比較です。計画をしない事業体がほとんどだと思うので、僕の言いたいことがどの程度伝わるのか不安ですが、立てた計画と比較して実績がどうだったのかを比較するのです。
実績は、日報記録等、それなりにやっていれば「事実」として把握できます。その事実を計画と比較するのです。そうすれば、計画と比較して「遅かった」「早かった」「思ったより難しかった」と言う評価ができますし、もしかしたら「実績は問題ないが計画が甘かった」という評価も可能となります。
僕ら、林業をやっている人間の究極の到達点は、作業をやらなくても、山を見れば、儲かるかどうかがわかる、作業日数がわかる、作業工程のポイントがわかるスキルを身に付けることではありませんか?
次にみなさんの頭に浮かぶのは、「じゃあ、計画ってどうやって作るん?」だと思います。これは、ちょっと話が長くなるので、まあ、それはまた今度。(言わんのか〜い!)
予想した計画と実績を比較して、昨日の自分を超えてゆけ!
PROFILE
FOREST MEDIA WORKS Inc.
CEO
楢崎達也

カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、FOREST MEDIA WORKS Inc.にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2026プロデューサー。
FOREST JOURNAL vol.28(2026年夏号)より転載














