「OWL」解析ソフトが大幅バージョンアップ&植栽時の苗木計測も可能に。
2025/02/28
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簡単操作で高精度の森林調査を実現させたアドイン研究所の地上型レーザー計測装置「OWL」。 その解析ソフト「OWL Manager」に新たに4つの機能が加わった。林業現場の要望を受けてさらに利便性が高まった「OWL」の更なる活用が期待される。
1.新機能① 三次元点群&360°写真をハイブリッド表示
2.新機能② ピンクテープを自動検出して、特定立木の判別が可能 資材コストも低減!
3.新機能③ 点群データを任意の幅でスライス表示 幼木の位置と樹高も自動検出可能!
4.新機能④ 等高線の出力機能を追加 GISソフトで活用が可能に!
5.最新版へアップデート さらに使い勝手向上へ
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林地の現状をシンプル操作で三次元的に可視化できる地上型レーザー計測装置「OWL(アウル)」。「OWLManager(アウルマネージャー)」は、OWL計測装置でスキャンしたデータ(OWLデータ)を解析・表示する専用ソフトウェアだ。
【新機能①】
3次元点群&360°カメラ画像をハイブリッド表示
林内の状況がより分かりやすく!
「OWLManager」の大きな特徴は、計測した点群データを3次元で立体表示する「立木ウォークスルー機能」。今回のバージョンアップ(OWLManager Version2.2.2.0)ではこの機能と併せて、同じ場所を360°撮影した画像を立木ウォークスルーの点群の向きに合わせて並べて表示できるようにした。
立木ウォークスルー機能では、まさに林内を歩くような感覚で立木の位置や計測結果、地形などの林内情報を確認することができる。さらに同じ場所の360°カメラ画像をハイブリッド表示させることで、幹へのツタの巻き付きや下草といった林内状況が一層把握しやすくなった。
「ハイブリッド表示によって立木や作業道などの位置関係が分かりやすくなりました。さらに立木ウォークスルーのデータが、本当にその場所で計測されたかどうかの透明性も高まります。行政機関などデータを受け取る側への信頼性アップと説得力向上にもつながりました」とユーザの声を挙げている。
3次元点群データと360°カメラ画像のハイブリッド表示で林内状況の把握が容易になる
【新機能②】
ピンクテープを自動検出して、特定立木の判別が可能
資材コストも低減!
従来から「OWL」には、特定の反射材を立木に巻いて間伐木や境界木として認識する機能がある。計測手段としてはとても有効だが、反射材は比較的高価な為、多くの立木に巻こうとすると、そのコストが高くなってしまう事があった。
今回の改良では市販のピンクテープを自動検出し、「OWLManager」で解析・識別できるようにした。ピンクテープは選木などの林内作業では欠かせないアイテムであり、安価に入手できる。資材コストの低減のためにも、市販のピンクテープを検出できるようになったのは朗報だ。「色の異なるテープの自動検出の要望も受けていて、現在開発を進めている」と同社。
立木にピンクテープを巻くことで、自動で間伐木などとしての特徴付けができる
【新機能③】
点群データを任意の幅でスライス表示
幼木の位置と樹高も自動検出可能!
林内状況を表現する立木ウォークスルー機能の可能性を大きく広げるのが、新たに加わった「点群スライス機能」だ。立木ウォークスルー機能の表示の中から、任意の地上高と幅でスライスした結果だけを抽出して表示する。
地面から0.5m~2.0mの位置をスライス表示した例。立木の位置関係を把握しやすくなる
これにより、例えば樹冠を消して下層植生を確認したり、逆に下層植生を消して樹冠の発達を把握したりといった細かな解析が簡単にできるようになった。また立木ウォークスルー表示を垂直方向に任意の幅でスライスすることで、着目する立木の形状や斜面での傾きを確認したり林内地形の縦断面も確認できる。
垂直方向にスライス表示した例
「例えば樹冠の発達具合を知ることで森林の二酸化炭素吸収量の推定につながります。また作業道作設や架線集材を行うときには現場の縦断面の可視化が役立ちます。OWLアプリソフト(作業道作設・治山)では、縦断面・横断面の数値データをシェープファイルやCADデータとして出力しています。スライス機能には幅広い使い方が考えられます」(同社)。
さらに、この機能を活用して東京都農林総合研究センターと共同開発したのが、このスライス機能を利用して植栽した幼木の位置と樹高を自動計測する、幼木検出プラグインだ。30cm程度の高さでも樹高を計測することができる。
幼木検出プラグイン画像
「下草が少ない定植直後に苗の位置情報を正確に記録することで、下刈りの自動化や誤伐防止、補植箇所の把握といった取り組みに応用できます。今後は他業種とも連携して効率的な造林保育作業の実証を進めていきます」と同社は展望する。
【新機能④】
等高線の出力機能を追加
GISソフトで活用が可能に!
OWLのユーザーから要望が多かった等高線データのシェープファイル出力機能も追加された。これまでも立木ウォークスルー機能で等高線を表示できたが、今回の改良によって、OWL立木位置図上での等高線表示と共に、シェープファイルで出力したデータをGISソフトで扱えるようになった。
「等高線間隔は任意で設定でき、主曲線のほかに計曲線も表示されるので容易に現場の地形を把握できます」(同社)。
等高線に立木位置図や航空写真を重ね合わせるなど、作業内容に応じて大きく使い方が広がりそうだ。
シェープファイル出力により、GIS上で微地形の表現が可能になる
最新版へアップデート
さらに使い勝手向上へ
現在 OWLManager Ver2を使用している人は、最新版の「Ver 2.2.2.0」にアップデートすることで利用できる。従来のOWLManager Ver1を使用している人もライセンスのアップデート(有償)を行う事で「Ver 2.2.2.0」が使用可能になる。幼木検出機能は専用のプラグインソフト(有償)の導入が必要だ。
本バージョンアップにより、森林計測データ活用の利便性がさらに高まったことで、林経営計画策定や集約化施業を大きく後押ししてくれそうだ。
お問い合わせ
株式会社アドイン研究所
TEL:03-3288-7835
MAIL:owl@adin.co.jp
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