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林業者の取り組み

人が辞めていく組織になっていないか? 「やる気」や「やりがい」を生む組織の変革

林業業界が直面する人材不足と組織合併・独立の課題。企業の発展と「やりがい」の両立を目指すためのヒントを解説する。経営支援のプロ・楢崎達也の連載コラム「次世代林業Lab」。

組織合併の成功も独立もキーワードは同じ。
「やりがい」を見つけられるか

「人生とは選択の連続の最終結果である」、私の好きな言葉です(「シン・ウルトラマン」まだ見てる人〈笑〉)。すでに多くの方がご存知の通り、楢崎は2回会社を辞めています(笑)。だからと言って、会社を辞めることを推奨しているわけではありません。組織に所属しないとできない大きな仕事はたくさんあります。

日本は空前の人材不足状態です。行く先々で林業業界の方々が「人が集まらない」と嘆いておられますし、他業界でも同じ状況。他業界でも人が集まらないのであれば、林業ではさらに人が集まりにくいよね〜、でも僕はそう簡単には思っていません。
それは、林業には他の産業にはない魅力があるからです。(2020年夏vol.4コラム参照)

最近、方々でよく相談されるのは、「現在の事業体から独立しようかと考え中」(個人)と「森林組合の合併を将来検討することになるかも」(行政)。

人材が深刻に不足してくると、日常業務もままならなくなり、当然、売り上げを伸ばすことができなくなる。そうすれば、企業力が弱まり、選択肢がなくなった会社は同じ業界内の企業と連携(合併)をして企業力を維持し、現状を打開するという選択肢になる。

ただ、経営の観点から林業を考える僕は、会社の安易な合併には反対です。僕も前前職(銀行子会社)で2回の合併を経験。
その結果、企業のカラー(比較優位性)はどんどんと失われ、そうなると、このコラムでもよく扱っている、その会社に所属している意義、その会社で働く「やりがい」も失われます。僕みたいなオジンになると「やりがい」もへったくれもないのかもしれませんが(笑)、将来がある若者は違います。

どこの林業会社で働いても仕事内容は大して変わらないのに、辞めて他の林業会社に移る(岐阜県調査では約6割)、あるいは独立するのは仕事の「やりがい」を求めてのことです。独立で人材が抜ければ、新規補充しても組織は必ずパワーダウン。基本、既存人材を辞めさせてはいけません。

お金がないからという理由の組織合併に楢崎は反対。でも、合併することで古くなっている組織の仕組みをリニューアルして「やりがい」が感じられる組織に変化させられるのであれば、賛成。魅力的な組織(普通の?〈笑〉)に生まれ変われば、新規人材が林業に来るはずです。僕はこれが、日本林業の目指す発展形の一つだと考えています。

有能な人材が組織から独立するのは、今の組織の中でやりたいことができないから(もう一つは職場環境が悪いから)、個人のわがままはダメですが、個人のやりたいことと組織の発展の方向が同じであれば、組織の中で、組織内ベンチャー的に実施して、新しい方向性での発展を目指せば良いだけですよね。仕組みを変えていける林業事業体が増えていくことに希望を持っています。

今はおじさんになってしまった皆さん、僕らにだって若い頃はあった(笑)。目を細くして遠い目で、自分の若かった頃を思い出してみましょう。
 



 

「社会貢献」というやりがい



能登森林組合
令和6年に能登半島で発生した地震、洪水からの復旧のため、緊急作業の森林の啓開作業(復興)に取り組まれています。

PROFILE

FOREST MEDIA WORKS Inc.
CEO

楢崎達也


カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、FOREST MEDIA WORKS Inc.にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2024プロデューサー。


FOREST JOURNAL vol.22(2024年冬号)より転載

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