【森林・林業・環境機械展示実演会リポート⑤】45度までの傾斜地を登坂するラジコン式伐倒作業車
2024/11/22
福井県勝山市で開かれた「2024森林・林業・環境機械展示実演会」で展示されたソリューションのなかから、松本システムエンジニアリングが展示した、45度までの傾斜地を登坂するラジコン式伐倒作業車を紹介する。
国内最大規模の展示会
現場さながらの実演を披露
会場のスキージャム勝山(福井県勝山市)
森林・林業・環境機械展示実演会は一般社団法人林業機械化協会が主催して1981年から開催している。協会会員のメーカーなどが開発・改良した機械や輸入した機械を多数展示・実演するのが特徴だ。屋外で現場さながらの実演を披露する国内最大規模の森林・林業・環境機械の展示実演会である。関係者や一般の方々にその性能を紹介するとともに、森林・林業・環境機械の普及とその安全使用を促進することを目的として開催している。
今年度は、第47回全国育樹祭の開催記念行事として福井県と共催で開催した。会場のスキージャム勝山(福井県勝山市)には、80社がブースを出展し、高性能林業機械をはじめとして、チェーンソー、刈り払い機、林内作業車、木材破砕機のほか、森林バイオマスの有効活用のための機械やチェーンソー防護衣などの安全装備といった幅広い分野のソリューションが披露された。
45度までの傾斜地を登坂する
ラジコン式伐倒作業車
ラジコン式伐倒作業車「シン・ラプトル」
松本システムエンジニアリングは、1998年の設立以来、産業用荷役機器および建設林業機械用アタッチメント、包装機器、油圧機器の開発・設計・製造販売を自社で一貫して行ってきた。多くの販売店・エンドユーザーからの声を開発・設計へと活かすことにより高い評価を受ける。
同社のラジコン式伐倒作業車「シン・ラプトル」は、今年4月から受注販売を開始した無人の伐倒作業車である。遠隔操作で立木を伐倒・搬送し、列状間伐、皆伐に対応する。45度までの傾斜地を登坂するほか、その場で旋回できるため、傾斜した林地でもオペレーターの意思で切断した立木を倒す方向を定めることができる。最大登坂角である45度付近の傾斜地ではアシストウインチを使用して、転落を防止する機能も備えている。
切断はチェーンソーで行い、最大切断直径は60センチ。傾斜地でも、抜根高さが20センチ以下で伐倒できる。切断した立木をゆっくりと倒すことで車体転倒などの事故や車両の破損を防止する。また30度までの勾配でも山側に向かって伐倒することもできる。オペレーターは立体視映像システムの専用ゴーグルを装着して、手元のコントローラーで操作を行う。専用ゴーグルには、カメラ視野180度範囲内で顔を向けた方向の映像が立体的に視えるように遅延なく投影されている。このため、車両から離れた安全な場所からでも目の前で作業を行っている感覚で操作できる。
ラジコン式伐倒作業車「シン・ラプトル」は、来年2月頃にさらなるアップデートを予定しているという。
DATA
取材・文/ 高橋健一