『測量が変わりました』林業の作業効率&信頼性アップをアシストするソフトとは?
2024/01/11
阿武隈高地の一角に位置する宮城県最南端の丸森町。町の林業をけん引する丸森町森林組合は、スマート林業推進に向けたICT機器とアプリをフルパッケージで導入。一気に効率化したことで“革命”が起きたという。
メイン画像:AssistZで取得した画像。右上:樹頂点抽出画像/右下:立木着色画像/左下:樹冠生成画像/左上:ドローン飛行経路図
【Assist Z】
ドローンデータ&3D GISで
測量の効率化&信頼性アップ
「Assist Zの導入で、地形を踏まえた自動飛行システムの作成や、撮影画像のオルソ化作業が簡単になりました。さらに、そのデータをソフトに貼り付ければ地理院地図などに重ねられる。目標のオルソ画像を使って外周を囲えば面積も出せるので、山に入らなくても測量できるのが革新的でした」。
こう話すのは丸森町森林組合主事の鳥居創太さん。同組合は2年前にカメラ付きドローンを購入。活用法を探る中で出合ったのがスマート林業総合メーカーのジツタがリリースするフルパッケージ型スマート林業システムだった。
宮城県丸森町森林組合主事の鳥居創太さん。5haの山を測量するには4、5人で一日がかり。ドローンを有効に使えるソフトを探す中で出合ったのがジツタのソフトだったそう。
同社の森林三次元システムAssist Zは、ドローン飛行経路の設定から撮影画像をもとにした点群データによる材積推定まで簡単にできる。作業区域や作業道の測量では、同社のAndroid用アプリ『ARUQ』と高性能GNSS受信機『Geode』との併用で、従来のコンパス測量と比べ、作業人員の大幅削減が実現したという。
高性能GNSS受信機「Geode」
最初は精度に不安があったというが、「ARUQとGeodeを組み合わせると精度が格段に高まり、測量誤差は県の規定の3m以内に収まります。またAndroid端末に入れたARUQの画面上でも図面を見られるので、山の中にいてもオルソ画像の中で自分がどこにいるのか、パソコンを持ち歩いているような感覚で確かめられるのが革命的です」と鳥居さんは話す。
【Assist 8】
わかりやすい施業提案
森林経営管理制度にも対応
組合では森林経営管理制度への対応にもAssist Z姉妹版の森林施業提案システムAssist 8を活用している。「さまざまな所有者の何千件もの森林情報の中から、例えば25年生以上の山を出したいとすると、クリックひとつで検索図面を色分け表示できて本当に便利です」(鳥居さん)。
山主・組合員との距離が近い丸森町森林組合では、組合員さんの急な訪問も。AssistZでの説明は視覚的に理解しやすく説明もスムーズだ。
山主への説明にも役立っているという。「組合員さんが事務所に来たとき、今までは紙製のファイルで説明していましたが、パソコン上ですぐに図面を出すと非常にスムーズに施業提案でき、信頼感も得られます」と導入メリットを挙げる。
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【県との連携】
広がる活用法
山に入らずにデータを取得
丸森町森林組合の鳥居創太さんと、組合長の作間淳一さん。組合員との活発なコミュニケーションで、円滑な森林管理を行う組合。
行政と連携した施業前調査や完了検査の省力化にも取り組んでいる。「ドローン利用に変更したことで、これまで1~2日かかっていた県による作業道の現地調査は不要になりました」(鳥居さん)。従来は標準地を設けて算出していた間伐率もAssist Zを活用して計算できるようにしたという。
こうした背景について「宮城県もAssist Zを導入しており、ドローンやGNSS測量の導入で、全国に先駆けて対応してくれていることがあります」と鳥居さんは話す。スマート林業の推進には行政との二人三脚の取り組みが欠かせない。
「間伐後の完了検査は、現状だと空中からでは被圧木で伐採本数が見えない場合があります。しかし、もう少し空撮や解析の精度が上がれば、現場検査は必要なくなると考えています」。広がるAssistシリーズの活用法に大きな期待を寄せた。
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問い合わせ
株式会社ジツタ
TEL:03-3553-8583
MAIL:products@jitsuta.co.jp
取材・文:渕上健太
FOREST JOURNAL vol.18(2023年冬号)より転載
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