【チェンソーの安全対策】”つながる”ことで費用削減も実現!
2023/03/20
チェンソーは機能の進化が続き、近年のモデルは安全性も高まっている。その最先端が『スマートチェンソー』。“つながる”ことで新たな機能を追加し、ユーザー・販売店・メーカーに貢献する新しいチェンソーだ。
つながる『スマートチェンソー』は
メンテ費用の削減と安全性の向上へ
信頼のおけるメーカーが販売するチェンソーには、様々な安全装置・機構が搭載されている。キックバック時の危険を防止するチェーンブレーキや、チェーンが外れたり切断した際の衝撃を軽減するチェーンキャッチャーなどがその代表だ。
それでもチェンソーに由来する事故は発生し、作業者の安全を脅かしている。多忙な日常業務のなかで煩雑な保守点検を行うのは容易ではないし、メーカーにとって想定外の方法でチェンソーが長期間使われる場合があるなど原因は様々だが、作業者の安全を確保するのにチェンソーの適切なメンテナンスが大切であることは間違いない。
近頃、チェンソーの適切なメンテナンスを確実に行うサポートをしてくれる製品(サービス)が登場している。それが“つながる”チェンソーだ。ここではスマートチェンソーと呼ぼう。
スマートチェンソーはスマートフォンやPC、ネットワークとつながることで、チェンソーの場所、使用時間、稼働状況などを把握できる。このデータは蓄積・分析できるから、あらゆる管理に活用できる。
例えば、適切なタイミングでメンテナンスを受けることができる。メンテナンスをタイムリーに受けることは機械トラブルを減少させることにつながり、作業者の安全性を高め、メンテナンスコストを削減し、管理業務の効率を上げることができる。
チェンソーの管理を効率化することで、作業者のコスト削減と安全性向上を実現してくれるスマートチェンソーは、特に複数台のチェンソーを扱う事業体や販売店にとっては導入する価値のあるサービスだろう。
❏ チェンソーの“これから”は、どうなる?
スマートチェンソーのすごさは、大きく分けて2ステップ。
まずは機械の管理の合理化ができ、次のステップでは、取得&分析されたデータをもとに、ユーザー側の行動改善のきっかけを提供できる、という可能性があります。
ゆくゆくは安全な木の伐り方をチェーンソーがガイドしてくれるようなものを目指して研究を進めています。現状でも、ハスクバーナのフリートサービスに搭載されているように、分析結果から効率的なアクセルワークをユーザーにフィードバックする機能を備えたものが登場しています。
スマートチェンソーやスマート刈払機の開発にも携わる松村さん
やまびこジャパン
鋭意開発中!
蓄積データの活用に期待大
昨秋の農業Weekで展示されていた『屋外作業機の稼働データメモリーシステム』のサービス提供がプロ向け機種から進行中だ。アプリを通じて、サーバーへの運転状況の転送、機械の履歴の閲覧、修理履歴の登録・保存などが可能になる。効率的な機器管理を実現しつつ、作業者の安全性向上を目指す。
ハスクバーナ Fleet Services™
専用アプリで保守履歴も管理
他社機もOKの外付けセンサー
エンジン・バッテリー駆動の作業機械にセンサーを取り付け、機械の場所、使用時間、サービスや部品交換時期などの情報を常に把握できる。スマートフォン、タブレット、PCから更新されたすべての情報にアクセスでき、計画的なメンテナンスが可能になるため安全性が高まる他、管理全般にかかる時間と手間、コストを大幅に削減できる。
PROFILE
東京大学大学院
農学生命科学研究科 特任研究員
松村哲也さん
信州大学農学部森林学科卒業後、同大学大学院などで高性能林業機械の効果的運用法を研究。10年前から林業における高視認性の研究に携わるほか、機械メーカーなどの企業との研究開発事案に従事。非常勤講師を務める長野県林業大学校ではチェーンソー技術の指導とJLC競技への参加支援を行う。
文:川島礼二郎
FOREST JOURNAL vol.15(2023年春号)より転載