強くしなやかで、土に還る。松くい虫くん蒸用生分解性シート『ビオフレックス』とは?
2022/03/14
地球に優しく廃棄の手間を軽減するとして知られるアキレスの松くい虫くん蒸用生分解性シート『ビオフレックス』、実は多目的に使えることをご存知だろうか?
課題から発想、
アキレスのくん蒸用シートとは
地球温暖化の影響により、松くい虫の被害地域が北上している。
松くい虫は、カミキリ虫の一種が病原体となる線虫を健康なマツに運び、そのマツに線虫が侵入することでマツを枯らし伝染する。被害が発見されたのは長崎県であるが、それが徐々に北上し、関東や東北地域までおよんでいるのだ。その対策として使われるのが、くん蒸用シート。被害を受けたマツを伐採してシートで覆い、くん蒸することで、被害の拡散を防いでいる。
ここで紹介するのはアキレスの松くい虫くん蒸用生分解性シート『ビオフレックス』(以下、『ビオフレックス』)。誕生したのは今からもう20年以上前のことだ。農業資材課の鈴木良史さんが教えてくれた。
鈴木 持続可能性を考えた製品開発は20年前から進めています
「1998年五輪開催準備中の長野県では松枯れが発生し、拡散防止のために伐倒くん蒸を行いました。塩ビシート等を用いたくん蒸では後にシートを回収しなければなりません。山中では回収漏れの可能性もあり、環境負荷を軽減できる製品をつくらねばと当社が開発したのが、微生物によって分解され土に還り、廃棄の手間も要らない『ビオフレックス』。時代は今、ようやく持続可能性や廃棄プラスチック問題を議論していますが、それを当社は20年以上も前から進めていました」と鈴木さんは胸を張る。
使い勝手を考慮して“しなやか”でありながら従来品と同等の強度を有する。かつ、くん蒸用薬剤を発売するメーカーと実証実験を行い、確かなくん蒸効果も確認した。こうして開発されたくん蒸用シートは、今や全国で広く使われる定番商品へと成長を遂げた。
『ビオフレックス』
松くい虫のくん蒸用に開発された地球に優しい生分解性シート。土中の微生物により分解される。くん蒸ガスの透過を抑えた優れたくん蒸効果は、くん蒸用薬剤メーカーのお墨付き。弾力がありソフトな質感なので作業性にも優れる。
「生分解性」だからこそ
多目的な使い道
一方で、その優れた素材の性能が最近、意外な場所でも使われているのだとか。再び鈴木さんの話を聞いてみよう。
「当社では想定していなかったのですが、駆除した後の野生動物を包むシートとしても『ビオフレックス』が利用されています。過疎化や里山の減少などが原因となり、獣害が増えていますよね。その対策として駆除された野生動物を包んで埋葬するのに、この『ビオフレックス』が使われています。残酷なような気もしますが、シートが自然に還るようにと開発した『ビオフレックス』とともに動物の命が山に還るお手伝いをしていると思うと、感慨深いものがあります」。
ナラ、カシ、害獣処理にも。
『ビオフレックス』は一般的なマツだけでなく、アカマツ・クロマツ・リュウキュウマツのほか、ナラやカシのくん蒸にも利用できる。ここ10年ほど、東北地方でナラ枯れ被害が増加、その対策にも利用が広がっている。
『ビオフレックス』が生分解性であること、また高い柔軟性と加工性、可搬性を併せ持つことから、なんと近年は獣害対策の捕獲個体袋としても活用されている。これはアキレスが想定した活用法ではなく、山を知る狩猟者間で自然発生的に広がったのだという。
アキレスが20年以上前に開発した生分解性シート『ビオフレックス』は、持続可能性が大切にされ始めた今、ますますその価値を高めている。皆さんなら、どのように利用するだろうか?
DATA
アキレス株式会社
農業資材販売部
TEL:03-5338-9289(受付時間:月~金/祝日は除く 9:00~17:00)
文/川島礼二郎
Sponsored by アキレス株式会社