「施業内容の見える化」で山主の信頼獲得へ! 集約化現場には森林3次元計測システムを
2022/01/28
販売開始以来、利用者数が80事業体近くに広がっているアドイン研究所の森林3次元計測システムOWL(アウル)。人工林の集約化施業にOWLを積極導入中のユーザーに、現場での活用方法や今後の可能性を聞いた。
メイン画像:山形県立農林大学校のICT特別講習でOWLの使い方を指導している塩谷さん。次世代への普及活動にも積極的に取り組んでいる。
山形県の森林経営コンサルで
2019年からOWL(アウル)を導入
秀麗な山容から「出羽富士」とも呼ばれる鳥海山。その山麓に位置する山形県酒田市で森林経営コンサルティングを手掛ける鳥海フォレストは、2019年に「OWL」を導入した。
現在は市内の素材生産業者など3社による森林経営計画の策定や、計画に基づく集約化施業をOWLを使ってサポートしている。同社の森林施業プランナー塩谷(えんや)政人さんは、OWLについてこう話す。「森林所有者に示す施業提案書と見積もりの作成に大いに役立っている」。
客観データ明示で
山主からの信頼獲得
同社がサポートする集約化施業の現場では、関連する森林所有者が50人近くに上ることも。その一人ひとりを対象に所有する林分の材積や施業後の山の姿、搬出材積や丸太の販売金額などを明示する作業には膨大な手間が掛かり、数字の客観性を示すのも難しかった。
しかしOWLによる計測データを専用ソフトウェア「OWL Manager」で解析・集計。さらに標準地調査の結果や森林計画図などと組み合わせて図表化することで手ごたえがあったと語る。「森林所有者の理解が進み、施業への同意を得やすくなった。クレームもなくなり、逆に応援してもらえるようになった」。
森林所有者を対象とする集約化施業の説明会などでは市販のプレゼンテーションソフトと組み合わせて使っており、IT機器に触れる機会が多い若年世代の住民が森林整備に関心をもつきっかけにもなっているという。
「林業事業体はこれまで事務作業の人員が手薄になりがちだった。ベテランには現場で安全に作業をしてもらい、若いスタッフにはデータの効率的な処理や活用を含めて積極的にOWLを使ってもらっている」と塩谷さん。
施業予定地での毎木調査でもOWLを使うことで、2人工で従来の2倍の最大2ヘクタールほどを1日で終えられるようになったという。
地場産材のブランド化へ
広がる活用方法
鳥海フォレストの目標は地元産のスギ材のブランド化。そのためにも永続的な森林管理が欠かせない。塩谷さんは次のように語る。「OWLの導入で森林の『見える化』と『在庫化』に貢献していきたい。将来の仕事をシミュレーションできるようになったことも大きい」。
VRゴーグルを使った間伐時の選木支援、QRコード付きの看板を施業地に立て、過去の施業の様子や将来の姿をスマホなどで手軽に閲覧できる取り組み……。
「OWLは大きな可能性をもっている。利用シーンをもっと広げたい」。地域の山の持続的な管理と林業のスマート化に向け、林業現場と開発現場が協業して生まれる活用方法は今後も広がりそうだ。
PROFILE
株式会社鳥海フォレスト
TEL:0234-64-2116
森林所有者への「わかりやすい提案」の為、OWL活用のもと管理コンサルティングを行う。
DATA
森林3次元計測システム OWL(アウル)
●本体重量:3.7kg
●本体長さ:約1900mm(移動時:約1000mm)
●計測時間:1地点45秒間(標準地20m×20mの場合、9地点計測で所要時間は10分程度)
●解析時間:9地点データで5分程度(推奨PC仕様による)
問い合わせ
株式会社アドイン研究所
TEL:03-3288-7835
メールアドレス:owl@adin.co.jp
文:渕上健太
Sponsored by 株式会社アドイン研究所