【里山ライフハック】あっという間に薪の山を作る! 世界最強!?の薪割り体験レポート
2021/01/22
薪ストーブに憧れがあっても、ネックなのは“薪の調達”。斧を使った手作業で薪を割るのはかなりの重労働だ。そんななか、プロユースの薪割り機を体験できることになった林材ライターの赤堀楠雄氏。果たしてその実力とは? 今回は同氏の体験記をお届け。
取材先で予期せぬ出会い
薪ストーブユーザーになったのは7、8年くらい前からである。じんわりとした暖かさに身を任せ、静かにゆらめく炎を耐熱ガラス越しに眺めていると、背骨は緩むばかり。天板に載せた鍋でおでんやシチューを煮込むこともできる。
こんないい暖房器具はほかにないと思うのだが、大変なのは薪の調達である。私は長野県の山の中に住んでいて、丸太を確保するのはさほど難しくはないのだが、斧を使った手作業で薪を割るのはかなりの重労働になる。年とともに体力が衰えていく先々のことを考えて、そろそろエンジン式の薪割り機を導入しようかと思っていた、この秋のことであった。
群馬県下仁田町に居を構える機械業者のKANEKO重機を取材に行くと、見慣れない機械が置いてあり、金子社長に尋ねると外国製の薪割り機だという。
ベルトコンベアが丸太を機械に送り込む。その先には玉切用のチェーンソーが待ち構える。
これがなかなかのシロモノで、キャタピラーで自走し、丸太を送るベルトコンベアと玉切り用のチェーンソーまで付いている。金子社長がドイツのメーカーに乗り込んでタイヤをクローラーに取り換えるカスタマイズを施したのだという。
所定の長さにチェーンソーで玉切する(撮影用にカバーを開けているので安全装置が働き、刃の回転が止められている。こうした安全への配慮も各所にある)。
プロユースの機械をモニター
すごい機械だが、価格もそれなりだろうし、これは完全に業者向けだなと思っていると、金子社長が「赤堀さん、使ってみる?」と声をかけてくる。「でも丸太なんか持ってきてないし」と返事をすると、「違う違う、貸してあげるからモニターで使ってみてよ」と言うのである。
KANEKO重機で扱う上位機種は、最大粉砕能力約60トン、約70cmまでの薪を処理できる。
この時はまさか冗談だろうと思ったが、それからしばらく経ったある日、金子社長が運転する3トントラックに載せられて本当にそれが届いた。これには私や家族ばかりではなく、隣人たちもかなり驚いたらしい。しばらくの間、会う人ごとに、あのデカい機械は何に使うのかと質問された。
最大粉砕能力は余裕の50トン。ねじれた木や二股の木もわけなく薪にしてしまう。刃は2つ割り、4つ割りのどちらにも設定可能。オプションで6つ割り用の刃もある。
そんな騒ぎを山間の静かな集落にもたらしたこの機械だが、使ってみると確かに具合がいい。ベルトコンベアとチェーンソーの威力は絶大で、あっという間に薪の山ができる。いよいよあれを動かしているなと隣人たちも見物にやってきて、みな、「こいつはすごいな」と納得するのである。
あっという間に薪の山ができる。ガソリンエンジン式だが、クローラー走行も含め、すべての機構が油圧で制御されている。
個人ユーザーとしてはこれに慣れてしまうのもコワいのだが、金子さんから「そろそろ」と声がかかる前に、できるだけ多くの薪をつくってしまおうと、暇を見ては丸太集めと薪割り作業に精を出す日々が続いている。
DATA
薪割りプロセッサー
価格:350万円(フルオプション)/280万円(標準タイプ)
取材協力
KANEKO重機 代表取締役
金子 薫氏
薪割り機問い合わせ
KANEKO重機株式会社
TEL:0274-67-7832
赤堀楠雄
林材ライター。1963年生まれ、東京都出身。大学卒業後、10年余にわたる林業・木材業界新聞社勤務を経て99年よりフリーライターとしての活動を開始。現在は林業・ 木材分野の専門ライターとして全国の森や林業地に足を運ぶ。
FOREST JOURNAL vol.6(2020年冬号)より転載
Sponsored by KANEKO重機