<レポート>効率化と労働環境改善を同時に実現! マニアックな現場で活躍するヘッジトリマー
2021/02/22
林業や造園の現場でお馴染みのヘッジトリマーは植物の刈り込みを効率化する作業機だが、ここで紹介するヘッジトリマーは珍しい現場で活躍している。鉄道線路脇の木々や雑草を処理するのだ。効率化と労働環境改善を同時に実現!
線路脇の伐採で活躍する
ヘッドトリマーとは?
日本は鉄道大国である。鉄道網の総延長距離は約2万8,000kmにも達し、日本全国を広く網羅している。地球一周が約4万kmであるといえば、この途方もない長さが伝わることだろう。
地方に行けば線路脇に樹木が茂っている路線が多く、その伐採の効率化が喫緊の課題となっていることをご存知だろうか? ここでは、そんな線路脇の伐採で活躍するヘッジトリマーを紹介しよう。油圧ショベル用アタッチメントの『SLANETRAC HC150』だ。その効率の良さが高く評価され、2019年夏からJR東日本で採用されている。輸入販売を行うKANEKO重機の金子社長に話を聞いた。
「線路脇の伐採は特殊な作業なんです。伐採を行う作業員だけでなく、前後の安全確認やケーブル切断などを避けるための人手も必要です。そのうえ木や草の種類や生え方も千差万別です。地面からだけでなく、横や上から線路方向に伸びてくる木や草を刈り取らなければなりません。
これを手持ちのチェンソーやヘッジトリマーで作業していくと、膨大な時間が掛かってしまうのです。当社では5年前から『SLANETRAC HC150』を販売していますが、保線業務での利用は盲点でした。昨夏よりJR東日本八戸線の保守管理を行う藤田工務所にお使い頂いています」。
近年は地方において、豪華な観光列車が増えている。そうした特別な車両を傷つけないように、線路脇の雑木や雑草管理業務に気を遣う鉄道事業社が増えているという。
ユーザーである藤田工務所の藤田社長は、意外なメリットを指摘する。
「アタッチメントの角度を自由に操れるので線路脇の伐採効率は飛躍的に向上しました。さらに当社ではこの製品の導入に合わせてキャビン付きの油圧ショベルも購入しました。これで青森の厳しい寒さにも対応できますし、夏場にはエアコンを効かせて快適に作業できます。
また線路脇には蛇や蜂がいて作業員が悩まされていたのですが、今はもう安心して作業できます。従業員の労働環境改善の効果も大きいですね。人材確保にも繋がると期待しています」。
地方の深刻な人材不足に貢献するツールとして、さらなる現場での広がりに期待したい。
DATA
『SLANETRAC HC150』は2~8tの建設機械に装着する草刈りアタッチメント。調整可能な取り付けブラケットを採用しているので水平から垂直の間の任意の角度で切断できる。線路脇以外でも使用可能で空間を伐採するのに最適だ。
教えてくれた人
有限会社藤田工務所
代表取締役社長
藤田竹志さん
文:川島礼次郎
FOREST JOURNAL vol.6(2020年冬号)より転載