人手不足に悩む苗木生産者の救世主!? コンテナ苗の生産を支える協業ロボットが登場
2020/10/13
北海道で苗木の生産・販売に取り組んできた大坂林業は、苗木生産の工程にユニバーサルロボット社の協業ロボットを導入したことを発表した。苗木生産機械化の最前線に迫る。
コンテナ苗の需要拡大に
応えるために
1949年の創業以来、70年に渡って苗木の生産に取り組んできた大坂林業。2010年からはコンテナ苗の試験生産を開始し、2011年には本格的な生産をスタート。現在では年間で約100万本のコンテナ苗を生産している。
「造林用苗木の需要は増大し続けています」と同社の松村幹了代表は語る。
「日本の森林が利用期を迎えている昨今、伐ったら植える(再造林)をいかに効率よく進めていくかが問題です。ところが、従来の苗木は労働集約的に生産されているため、人手不足の影響をまともに受けざるを得ません。
また、異常気象も苗木の生産に悪影響を及ぼしています。林業の持続性を担保するため、需要に応じて苗木を増産していくには、既存の生産方式では限界がありました。そこで省力化が容易で異常気象の影響も少ないコンテナ苗の生産を始めたのです。」
人手不足の背景にあるのは急速な高齢化だ。特に苗木の選別・移植作業を担うベテランの職人は、数年後にはいなくなってしまうかもしれないと危惧されている。
「こうした現状を打開するために導入したのがユニバーサルロボット社の協業ロボットです」と松村代表。
ロボットとともに、
未来の森を支える仕事を
現在、大坂林業では協業ロボット(UR10e)一台をコンテナ苗の生産ラインに導入。空のコンテナをコンベアに設置し、自動土投入機へと送るという一連の作業を担っている。これによって以前は2名で行なっていた同作業が、一名で対応できるようになった。
その性能は作業員からもお墨付きで「これならばほかの作業も任せられる」との声も上がっているそうだ。松村代表も「将来的にはボトルネックになっている移植作業もロボットに任せたい」と明言。ロボットでもコンテナへとスムーズに移植できる、特殊なセル苗の開発にも着手しているという。実現すればコンテナ苗の供給力が向上するだけではなく、苗木生産コストの削減にもつながるはずだ。
「苗木生産の機械化は、林業が持続可能な成長産業になるために必要不可欠です。もちろん、どんなに機械化が進んだとしても人の手がいらなくなる訳ではありません。最先端の技術を活用しながら、未来の森林の礎となる苗木を育てたい。そんな想いに共感してくれる方がいたら、ぜひ力を貸してください」と松村代表は呼びかける。
DATA
問い合わせ
大坂林業
TEL:01558-8-2236
ユニバーサルロボット
TEL:03-3452-1202
文:松田敦