いよいよ発売! 国内初の林業用運搬ドローン「MORITO(森飛)」で苗木運搬がラクになる?
2020/03/06
住友林業株式会社と株式会社マゼックスによって共同開発された林業用運搬ドローン「MORITO(森飛)」の販売が始まった。造林作業のなかでも大きな負担となってきた「苗木の運搬」の省力化を実現する機器として注目が集まる。
急傾斜地への運搬も安全に
苗木の運搬は過酷な労働だ。何キロもある苗を背負って、山道を何往復もしなければならない。事故の危険性も非常に高い。この重労働から、林業従事者を解放すると期待されてきたのがドローンによる苗木運搬だ。2020年2月10日、住友林業株式会社と株式会社は、国内初の林業用運搬ドローン「MORITO(森飛)」の販売を開始した。
MORITOは1フライトごとに8kgの苗を運搬できる。現在主流になりつつあるコンテナ苗なら40本〜80本程度を一気に運搬できる計算だ。
安全なフライトを支えるのは付属のウインチ。山林では平地に比べて、風の流れが読みづらい。MORITOはウインチによって苗を機体の近くまで巻き上げた状態で飛行することで、風に影響されにくい安定したフライトを実現する。荷降ろし時にもウインチを活用。ドローンの着陸が困難な急傾斜地でも、機体を上空の安全な位置でホバリングさせたままま、苗木のみを降下させられる。
一時間に500本程度の苗木を運搬
ドローンの操作者のみで運搬が完結できる「一人作業」の実現にもこだわった。遠隔地での荷降ろし作業は、モニターで状況を目視しながら確実に実施できる。カメラは遠隔操作で角度を調整できるため周囲の状況把握も容易だ。
また苗木が地面に着地したときの張力の変化で、自動的にフックから苗木が外れる機構を採用したこともポイント。荷降ろしの現場に作業員が待機する必要がないため大幅な省力化が見込める。
専用のソフトに出発地と目的地の情報を登録すれば、離陸と着陸以外は、ボタン一つで自動飛行させることもできる。これらの機能を実装した結果、ドローンの操縦者ひとりで、1時間で500本程度のコンテナ苗を運搬できるようになった。
アクシデントに対する備えも万全だ。機体の前後で異なるカラーリング、異なる色のLEDライトを採用したのも、そうした備えのひとつ。手動操作でしか帰還できなくなった場合も、地上から機体方向を把握しやすくなる。また専用ソフトによって機体の位置をリアルタイムで把握できるため、万が一機体をロストしても、確実に機体を発見できる。
「MORITO(森飛)」の本体価格は268万円。ドローンを使用する際に必要な国土交通省への申請や、ドローン保険についてもメーカーのサポートが受けられるという。ぜひ一度導入を検討してみてはいかがだろうか。
DATA
Text:松田敦