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【森林クレジットQ&A】費用やスケジュール感、注意すべきポイントを解説!

初めて森林クレジットの創出・販売に取り組む担当者の頭の中には、きっとたくさんの「?」が浮かぶはず。そこでここでは、森林クレジットについてのよくある疑問点や、注意しておくべきポイントについて、Q&A形式で説明していきたい。

<目次>
1.Q:クレジットの創出には、どれくらいの費用がかかるの?
2.Q:プロジェクトの準備から登録までのスケジュール感は?
3.Q:プロジェクトの認証対象期間は、いつからいつまで?
4.Q:適用条件にある「永続性の担保」って、どういうこと?
5.Q:森林の施業や保護は、どのタイミングで行えばいいの?
6.Q:モニタリングって、具体的には何をするの?
7.Q:クレジットの認証や、発行、販売のタイミングは?
8.Q:クレジットの購入者は、どうやって見つければいいの?

 

Q:クレジットの創出には、
どれくらいの費用がかかるの?

FO-001に基づく森林管理プロジェクトでは「妥当性確認」のために75〜100万円程度の審査費用が必要となる。また審査機関によるモニタリング報告書の「検証」にも60〜100万程度の審査費用がかかる。申請書の作成などにかかる人件費も忘れずに。外部のコンサルティングサービスなどを利用する場合は、別途費用もかかる。妥当性確認と検証の審査費用については補助金も活用できるので、事前にしっかりと確認しておこう。

Q:プロジェクトの準備から登録までの
スケジュール感は?

プロジェクト登録の審議を受けるためには、認証委員会の開催日ごとに設定された締切日までに、必要書類を提出する必要がある。計画書の作成には、平均で1ヶ月程度はかかり、妥当性確認にも約1ヶ月半程度を要する。申請締切日は、認証委員会の開催日の約1ヶ月前に設定されることが多い。したがって認証委員会開催日の4ヶ月前には計画書の作成に着手できるよう、所有者への同意取り付けを済ませておくのが望ましいだろう。

Q:プロジェクトの認証対象期間は、
いつからいつまで?

森林管理プロジェクトでは、吸収量を年度単位で算定していく。そのため認証対象期間の開始日は、原則としてプロジェクト登録の申請のあった日が含まれる年度の開始日(4月1日)またはその翌年度の開始日のいずれかを選択することになる。対象期間の終了日は期間の開始日から8年を経過する日を含む年度の終了日、もしくは期間の開始日から9年を経過する日から16年を経過する日までの間の任意の年度の終了日を選択できる。

Q:適用条件にある
「永続性の担保」って、どういうこと?

森林は大気中のCO²を吸収するが、樹木が伐採されてしまえば、その効果は失われてしまう。そのためFO-001に基づくプロジェクトにおいて、プロジェクトの実施者は、認証対象期間終了後10年にわたり、プロジェクト登録をした範囲について継続的に森林経営計画を立てることをはじめ、発行元の森林の吸収効果を永続的に保持する(吸収された炭素が森林の中に固定されたままである)ことを、担保する措置が求められる。

Q:森林の施業や保護は、
どのタイミングで行えばいいの?

FO-001に基づくプロジェクトにおいては、森林の施業または保護が実施された森林(林分)のみが吸収量の算定対象となる。一方、算定対象期間は、それぞれの林分について認証対象期間内で最初に森林施業や森林保護を実施した年度以降のすべての認証対象期間中の年度と定められている。そのため早い段階で、森林の施業や保護を実施した方が算定対象期間も長くなり、より多くのクレジットを発行できる

Q:モニタリングって、
具体的には何をするの?

J-クレジット制度における「モニタリング」とは、温室効果ガス排出削減量・吸収量の算定に必要なデータや情報を入手または計測することをいう。プロジェクト実施者は、モニタリングの結果を踏まえて吸収量を算定し、モニタリング報告を作成。この承認を得ることでクレジットの発行量が決まってくる。モニタリングにあたっては、現地写真や作業日誌などを用いて、森林の施業または保護の現況を証明することが求められる。

Q:クレジットの認証や、
発行、販売のタイミングは?

たとえば認証期間が10年のプロジェクトの場合、1年分の吸収量の認証を毎年受けることも、10年分の吸収量の認証を最終年度の10年目にまとめて受けることも可能になる。ただし、モニタリング結果に対する審査(検証)に対する費用支援は、2年に1回に限られるので要注意。さらに認証委員会の審議を経て、クレジットが認証・発行されれば、プロジェクトの認証期間の途中であってもクレジットを販売することができる。

Q:クレジットの購入者は、
どうやって見つければいいの?

J-クレジット制度ウェブサイト上で、「売出中のクレジット一覧」として保有するクレジット情報を公開し、広く購入者を募ることができる。また住友林業とNTTが提供する「森かち」のような、民間の取引プラットフォームを利用するもの選択肢のひとつ。もちろん、自分たち自身で販売先を見つけることも可能だ。それらが難しい場合は、森林クレジットの販売仲介を担う仲介事業者(プロバイダー)を頼ることも視野に入れておこう。


文:福地敦

FOREST JOURNAL vol.22(2024年冬号)より転載

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