ジンを通じて持続可能な森林資源の活用を! 『森林×食』から誕生したクラフトジンとは
2020/06/15
ろくもじ株式会社が開発・販売を手がける国産プレミアムクラフトジン「ROKUMOJI」は、アテビやクロモジを主体に全6種類の森林資源を活用している。今回は、中心となって商品開発に取り組んできた今成駿吾さんに、プロジェクトにかける想いを伺った。
森そのものを味わうようなお酒を
ろくもじ株式会社は、アテビ(佐渡ヒバ)、クロモジ、村上茶、ドライアップル、アンジェリカルート、ジェニパーベリーの6種類のボタニカルを使用した国産プレミアムクラフトジン「ROKUMOJI」の販売を、クラウドファンディング上でスタートした。
プロジェクトの中心を担うのは、同社の取締役である今成駿吾さん。これまでも間伐材を生かした製品を開発、販売する「新潟モノづくり製造所~NiiMo」の運営を手がけるなど、森林資源の活用に精力的に取り組んできた。
「NiiMoでの仕事を通じて、ぼく自身が森林の素晴らしさに魅了されたんです。もっと多くの人と森林や林業のおもしろさを共有したい。そう考えているうちに生まれたのが『森林×食』というアイデアでした」。
森林の魅力を最大限に表現できるのは、どんな商品か。そう模索を続けるなか、たまたま立ち寄ったBARで差し出されたのがクラフトジンだった。
「はじめて飲んだとき、ボタニカルなフレーバーに驚かされました。これなら、森そのものを味わうようなお酒がつくれるかもしれない。そう直感しました」。今成さんはそのひらめきをかたちにするために、ろくもじ株式会社を立ち上げ、クラフトジンの開発に着手する。
人と自然が調和する、
地域に根ざしたジンづくり
めざしたのは飲むだけで森林浴ができるようなジン。地元新潟のビールメーカー、新潟麦酒の協力の元、試行錯誤を重ねていった。今成さん自身が森林から調達したさまざまな素材を試すなかで絞りこまれたのが、アテビ(佐渡ヒバ)、クロモジ、村上茶、ドライアップル、アンジェリカルート、ジェニパーベリーの6種類のボタニカルだ。
左から、アテビ、クロモジ、村上茶、ドライアップル、アンジェリカルート、ジュニパーベリー。
本州ではほとんど流通していないアテビは今成さん自らが山土場までトラックを走らせ、佐渡の林業家から直接調達。クロモジは地元の里山で暮らす人々やNPO団体のメンバーに採取してもらい、まとめて購入している。里山の収入源を増やせれば、という狙いもあるという。
ドライアップルは、本来なら廃棄されるりんごの芯をつかい、食品ロスの削減にも貢献する。日本最北端のお茶の産地である村上市で摘んだ茶葉は、ほうじ茶まで発酵させて使用。その香ばしさで、森のなかで感じる「土の匂い」を表現するためだ。
「この4つの国産のボタニカルに、ジンに不可欠なジェニパーベリーと、全体の香りをまとめあげるアンジェリカルートを加えて生まれたのがROKUMOJIです。口に含んだ瞬間、森の中に足を踏み入れたようなさわやかさが広がる一本に仕上がりました」。
おすすめの飲み方を尋ねると「まずはストレートやロックでぜひ。森の恵みを五感で味わってみてください」と今成さん。アルコール度数の高いお酒が苦手な人には、トニックウォーターで割ったジントニックもおすすめだという。
プロジェクトの開始から約一週間で目標支援額の100万円を達成。集めた資金は、新商品の開発や、森林整備事業の支援に活用される。目標支援額は達成したものの、クラウドファンディングのページからは現在もROKUMOJIが購入可能だ。興味のある方は売り切れ前に、お早めにどうぞ。
DATA
取材・文:松田敦