森林由来のJ-クレジット販売サービスが始動! クレジットの仕組みや特徴を解説
2020/05/27
株式会社日本省電は、森林由来の環境クレジット販売サービスを開始した。サービスの概要を紹介するとともに、そもそも「クレジット」とはどのような制度なのか、解説する。
「森林由来のクレジット」とは?
法人向を対象に再エネルギーの調達支援を手がける株式会社日本省電は、5月14日、森林由来の環境クレジット販売サービスを開始した。
同サービスは温室効果ガスの排出削減、吸収量を販売可能な「クレジット」として国が認証する「J-クレジット制度」に基づくもの。クレジットを購入するのは、事業体などが排出する温室効果ガスのうち、どうしても削減できない分を、他の事業体などによる排出削減・吸収量で埋め合わせ(オフセット)する、いわゆる「カーボン・オフセット」に積極的な企業だ。
森林由来クレジットの場合には、森林組合などが間伐などの森林整備によるCO2の吸収量をクレジットとして登録。企業へと販売する。クレジットの販売で得た収入はさらなる森林整備費に活用されるほか、一部は山林所有者へも還元される。つまりクレジットの購入を通じて、企業はさらなる森林施業をサポートし、温室効果ガスの排出削減・吸収量へと貢献できることになる。
森林由来クレジットの活用事例としては、道の駅「にちなん日野川の郷」が挙げられる。道の駅の運営によって生じるCO2を、日南町有林の施業に由来するクレジットによってオフセットし、CO2排出量ゼロを実現した。
クレジットと電力とセットで
「“●●の森”でんき」の
普及をめざす
日本省電の新サービスは同社が保有する森林由来のJ-クレジット、約1万5000トンを販売するもの。特徴的なのは、生産者の見える森林由来の環境クレジットを電力とセットで提供することだ。
日本省電(JEE)が保有するJ-クレジット(全国:約1万5000トン)
まず、同社が森林組合などからJ-クレジットを購入し、そのクレジットを小売電気事業者に転売。そこで発電された電気を「“●●の森”でんき」と名付け、各企業へと提供する。
企業側にとっては、環境負荷の低い電気を使っていることや、森林保全に貢献していることをPRできるメリットがある。購入企業の希望があれば、クレジットの創出者である森林組合との直接の取引も可能になるそうだ。
J―クレジット制度は、サステナブルな森林整備を実現する一助になり得る。まずは今回の新サービスでどの程度のクレジットが取引されるのか、引き続き動向をチェックしていきたい。
DATA
文:松田敦