企業と自治体がタッグ! 林業後継者の確保を目指す”山村ICT化推進プロジェクト”とは
2020/05/11
鳥取県八頭郡智頭町で、ICTで地方山間部の課題解決をめざす「山村ICT化推進プロジェクト」がスタートした。官民一体となった取り組みに注目が集まる。
林業へのICT導入で、
後継者の確保・育成へ
2月28日、智頭町と株式会社LASSIC、KDDI株式会社の三者は、地方山間部の課題全般をICTで解決していくことを目指す「山村ICT化推進プロジェクト」を共同で開始した。
鳥取県の南部に位置する智頭町は、面積の90%以上が山林。広大な鳥取砂丘を育む“源流の森”が拡がっている。その豊富な森林資源を背景に、林業が主要産業として栄えてきたが、他の多くの地域と同じように、近年は後継者不足に悩まされてきた。地方山間部が抱える「担い手不足による事業継続の困難さ」という課題を、「最新のICTを活用した新たな仕組みを開発し、実装する」ことで解決するために立ち上がったのが同プロジェクト。若者がUIターンしやすい環境を整えることで、林業後継者の確保と育成を図る。
まず取り組むのが、プロジェクト推進のための体制構築と人材教育だ。智頭町の住民や鳥取県内外の学生、鳥取県内で唯一の森林科学科を擁する智頭農林高等学校の生徒などを対象に、IoTや5Gといった先進技術のセミナーを開催し、ITリテラシーのレベルを向上させていくという。
プロジェクトの強力な推進剤となっているのが、『~鳥取発~ITで、地方創生』を経営理念に、ITを通じた地方活性化に取り組んできた株式会社LASSICだ。これまでにも「「森林セラピー (R)」の法人向け研修への転化企画・運用、法人送客支援 (鳥取県智頭町)」「法人向け「森林セラピー」プログラム開発コンサルティング (高知県梼原町)」といった取り組みを実現させてきた。
このLASSICのソフトウェア開発技術を、KDDIの持つ5G通信とIoT活用技術、外部有識者の知見を組み合わせることで、林業へのICT技術の実装をめざす。大学や企業関係者を有識者として招くだけでなく、LASSICが提供するリモート人材サービス「Remogu」を通じて、全国各地からプロジェクトに参加する人材を募るというのも、ユニークな点だ。
企業と自治体が一体となって、林業のスマート化を推進する。その先進事例として、具体的な成果に期待したい。
DATA
文:松田敦